マスード: 伝説のアフガン司令官の素顔 の感想

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参照データ

タイトルマスード: 伝説のアフガン司令官の素顔
発売日販売日未定
製作者マルセラ・グラッド
販売元アニカ
JANコード9784901964272
カテゴリ » ジャンル別 » 社会・政治 » 外交・国際関係

購入者の感想

アフガニスタンの国民的英雄、マスード。本書は、そのマスードについて書かれた本であるが、ここで明らかにされるのは、著者が冒頭の「おことわり」に書いているように、「客観的な」ものではなく、抵抗運動などを共に闘った人たちの目を通した「マスード像」である。

本書の中のマスードは、まず軍人として、司令官として優秀である。ソ連の侵攻、アフガンの内戦などの危機的状況の中で、粘り強く、打開策を見出していく。同時に、極めて敬虔なイスラム教徒であり、日々の祈りを欠かさなず、読書家であり、詩を愛している。子どもたち(当然、女の子も含まれる)の教育について心を砕いていたこと、女性の権利や社会進出を後押ししていたことなどにも触れられている。また、敵に寛容であり、一方で味方、なかでも地位の高い人に対して厳しかった。不正を憎んでいたのだ。

もちろん、上のようなある意味で「完璧」とも言える人物像に対して、眉に唾する人もいるだろう。しかし、かなり多様な人々の証言を集めていること、事実と照らし合わせられることが少なくないことを考えると、その実像と大きな差がなかったことが理解できる。また、私は写真家・長倉洋海氏の発言は信用に足ると思っているので(個人的な知り合いではないが)、氏の発言が他の人と矛盾しない以上、疑う理由などないのだ。

マスード本人が書いた文章ではなく、周囲の人によるマスードの言動を集めたという意味では、『新約聖書』や『論語』に近い趣を持っているが、平明な言葉で記されているので、読みやすい。そして、彼の言葉は胸にしみてくる。
それだけに、マスードが2001年9月9日に自爆テロの標的となり、殺されたことは極めて残念である。歴史に「もし」は禁物だが、それでも彼が生きていれば、9・11後の世界、少なくともアフガニスタンだけは違った状況になったのではと考えずにはいられない。

私はアフガニスタンという国のことも、その中の民族のことも、宗教のこともあまり詳しくありませんが、アフガニスタンという国にマスードという一人の高い志を持った人格者がいたことをこの本で詳しく知ることができました。これまでもフォトジャーナリストの長倉洋海さんの『マスードの戦い』『アフガニスタン敗れざる魂ーマスードが命を賭けた国』『獅子の大地』で、マスードの人間像を詳しく知る機会がありましたが、マルセラ・グラッドのこの本の中の長倉洋海さんの証言などを読むにあたって、もう一度これらの本を読み直してみたいと思いました。仏教でいう「化他行」を思い浮かべるような、国のため、他人のために一心に祈り、心を尽くしたマスードは本当の聖人であり、自己犠牲のもとにアフガニスタンという国に尽力し命を懸けた素晴らしい偉人に本の中で出逢えてよかった、と思える本で沢山の人に読んでほしい。宗派や国籍を超えて、多くの人がこのマスードのことを知るといいのにな、と思います。

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