伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術 の感想

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タイトル伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術
発売日販売日未定
製作者カーティス・フェイス
販売元徳間書店
JANコード9784198624262
カテゴリ »  » ジャンル別 » ビジネス・経済

購入者の感想

 本書は投資の指針として、「徹底したリスク管理」「統計的に裏付けられたルール」に従うことが最も重要だとする。人間はたやすくこの原則から外れた行動をとってしまい、それが市場の歪みと、逆にその歪みから得られる利益の源泉となっているのだと説く。
 事実、順張りが逆張りよりも有効な戦略であるにも関わらず、個人投資家はたいてい逆張りを挑んでカモにされてしまう。当然、順張りをする投資家が多くなればその有効性は低下するものの、一定のサイクルでその有効性は回復すると著者は言っている。そして、期待値は高いものの負けの回数の多い順張りに、多くの投資家は耐えられない。
 「将来の予測はしない」「それさえ知れば負け知らずといった賢者の石はない」など含蓄のある言葉も楽しい。100%で勝てる方法はなく、あるのは勝ち負けを繰り返しながらも長い目では高い期待値を与える戦略だけだ、という思想がはっきりしている。投資の指南書としては非常に具体的で基本的、かつ滋味あふれる本だと思う。

 もっとも、著者のカーティス・フェイスについては一定の疑念があることをつけ加えねばならない。実際、彼はタートル実習中にルール以上の過大なリスクを取っていたとされ、また、彼の公開実績はタートル中最も曖昧である。後に彼はファンドを立ち上げるが、たいした額を集められなかった上、50%以上のドローダウンを受けて閉鎖されたということだ。順張りを基本とする取引の有効性は、ジェリー・パーカーなど依然として成功しているタートルらをみても、タートル的運用の基本だということは間違いない。実際、日本の2006年頃に成功を収めたデイトレーダーらも、その多くが順張りで利益を収めたようだ。しかし、カーティス、そして当のデニスでさえ、リスクをとりすぎて自滅し、投資の一線にはすでにいないことは、知っているべきことだ思うし、ルネッサンス等が有する現代の投資技術はおそらくカーティスが考えている以上に高度化しているだろう。

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