アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人 の感想
参照データ
タイトル | アーティスト症候群―アートと職人、クリエイターと芸能人 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 大野 左紀子 |
販売元 | 明治書院 |
JANコード | 9784625684067 |
カテゴリ | ジャンル別 » ノンフィクション » アート・エンターテイメント » アート・芸術 |
購入者の感想
アーティストとは英語で「芸術家」のことを指す。これは至極当然なことなのだが、今の日本 ではそれだけを意味するわけでは明らかにない。アーティストは芸術家であっても、芸術家は アーティストにあらず。アーティストは芸術家でありながら、何かそれ以上の存在にまで肥大 してしまっている。日本人はアーティストという言葉に、芸術家という意味以上の何かとてつもなく大きな「幻想」に魅せられていて、アーティストという言葉の上に言葉には言い表せない幻想を盛っているのだ。そのことを本書は明かしてくれる。
元美術家であったにもかかわらず軽妙で(本人曰く)「ちょっと理屈っぽいおばさん」目線の 親近感の湧く文体は、読んでいてただただ痛快無比。
どの章も読んでいて面白いのだが、特に「芸能人アーティスト」の章では、工藤静香を「デコトラアーティストになったほうが儲かる」と諭し、藤井フミヤの作品を「まあ誰がやっても似たようなもんができるんだろうな」と評し、石井竜也にはアーティストなんかではなく「興行師」であるといってのける。それらは、彼らのファンでもない限り誰もが心の中では少なか らず思っていたことであり、読んでいて「いけー!もっとやれー!」という風に思ってしまった。
しかしアマゾンでの評価はなぜか高くない。
レビューに書かれてある批判は的外れだと思う。 筆者自身について割かれた章は、筆者がどのような人生をたどり、どうしてアートについてそういう構え方を取るに至ったのかを知るには重要な章だ。
アーティスト志望の若者には是非一度、この本を手にとってみて、そして今一度自分の欲望について省察してみてほしい。
あなたの欲望は「アートを創りたい」なの?
それとも「アーティストと呼ばれたい」なの?
元美術家であったにもかかわらず軽妙で(本人曰く)「ちょっと理屈っぽいおばさん」目線の 親近感の湧く文体は、読んでいてただただ痛快無比。
どの章も読んでいて面白いのだが、特に「芸能人アーティスト」の章では、工藤静香を「デコトラアーティストになったほうが儲かる」と諭し、藤井フミヤの作品を「まあ誰がやっても似たようなもんができるんだろうな」と評し、石井竜也にはアーティストなんかではなく「興行師」であるといってのける。それらは、彼らのファンでもない限り誰もが心の中では少なか らず思っていたことであり、読んでいて「いけー!もっとやれー!」という風に思ってしまった。
しかしアマゾンでの評価はなぜか高くない。
レビューに書かれてある批判は的外れだと思う。 筆者自身について割かれた章は、筆者がどのような人生をたどり、どうしてアートについてそういう構え方を取るに至ったのかを知るには重要な章だ。
アーティスト志望の若者には是非一度、この本を手にとってみて、そして今一度自分の欲望について省察してみてほしい。
あなたの欲望は「アートを創りたい」なの?
それとも「アーティストと呼ばれたい」なの?