解 (Psycho Critique) の感想

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タイトル解 (Psycho Critique)
発売日販売日未定
製作者加藤 智大
販売元批評社
JANコード9784826505598
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

まず、内容の信憑性について。
中島岳志氏の、「秋葉原事件 加藤智大の軌跡」と合わせて読んだが、食い違っている部分がある。
中島氏の勝手な解釈によるものなのか、本人の嘘かもしくは記憶違いによるものなのか、この辺は曖昧なので内容が全て真実だと真に受けすぎない方が良い可能性があると思った。

「重大な事件を起こす犯人の動機や苦悩は計り知れないものがあり、多くの人にとって衝撃的なものである」と期待されるものであるが、必ずしも世間一般からの共感を得られることであるとは限らないということを思い知らされた。
事件の元となるトラブルは人の数だけある、多くの人が「たかが」と考えることでも「たかが」と思えない人間も存在するという内容から、事件対策の難しさを実感させられる一冊となっている。
おそらく一般的な20代の男性が共感できるような苦悩とはかけ離れている部分も大きく、本人の中に期待されるような犯人像を演じる気がないことはよく分かった。

彼の特異な部分として、まず肉体的な死を以ってしてまで回避したかった「社会的な死」というものへの恐れの強さ、それ故に起こった掲示板での人間関係への強烈な依存が挙げられる。
人との繋がりを求める衝動というのは彼の人間らしい部分にも思えるが、病的なまでに自身を苦しめる要因ともなっている。
事件を起こすという発想に至る発端となった部分であり、また死刑判決を受けるような重い罪を犯す選択の元となった部分でもある「社会的な死への恐れ」という部分をもっと掘り下げて欲しかった。
これらがどのようなメカニズムで成り立っていたのかという、この事件と密接に関連している要因の一つとなる部分への追及が不十分だと思った。
その点について、本書の中では「私のような自分が無い人間」という抽象的な表現が為されており、社会との接点を保つために・・・という対処療法的な対策の考察しかない。
この辺は根本的な解決を望めず個人的に不完全燃焼であり、もしかしたら本人もよく分かっておらず書けない部分でもあるのかもしれないとも思った。

週刊現代の弟さんの手記を読んだ後でこの本を読んだのですが、本当に反省しているのなら何故面会に来た弟に会ってやらなかったのだろうと思いました。(一度でも会って自分の思いを直接伝えていれば弟さんは自殺をやめたかもしれないのに・・・)

本人としては精いっぱい自己分析して反省してるつもりでも肝心の行動に移す事ができず、自分や他人の人生を台無しにしてしまったんだなという印象を持ちました。

弟に会わなかったのも死刑囚として一見何も失うものがない身に見えても、まだ本人にしか分からない拘りが捨てきれていないんだな、だけどその拘りを捨てることができないと、自分を変えることはできないだろうなと思いました。

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