ナショナリズムとジェンダー 新版 (岩波現代文庫) の感想

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タイトルナショナリズムとジェンダー 新版 (岩波現代文庫)
発売日販売日未定
製作者上野 千鶴子
販売元岩波書店
JANコード9784006002718
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 女性学 » ジェンダー

購入者の感想

物事の本質とはズレた部分で深く掘り下げており、はっきり言って「どうでもいい瑣末な議論」となっている。慰安婦問題が国際政治の道具にされるのと同じで、インテリらの闘いの具となっている。単純な話を難しくしすぎて、この人の意見は世間一般に理解されないことが多いだろう。しかも上野の意見には同意できない事が多い。ひねった文章が面白いので楽しく読めたが。

p77あたりに「良い戦争と悪い戦争があるとすれば、どう区別するのだろう?」という問いがある。ナンセンスな質問だ。戦争に善も悪もないから。ただ一つの正義など存在しない。世界の数だけ正義がある。
上野はあちこちでこう書いている。「歴史は再審の連続。時代と解釈が変わるにつれつねに現代における書き直しのなかに置かれている。」「誰が書き手かで歴史の解釈が違う」「歴史は政治的だ」
全くその通り。
だから立場が違えば戦争の評価は180度変わる。
善悪の概念も国によって変わるのだから、北朝鮮から見ればアメリカは悪だし、アメリカから見れば北朝鮮は悪である。北朝鮮が戦争に勝てば金正恩は「世界を救った英雄」となる。
戦勝国であるか敗戦国であるかの違いが、戦後のレッテルを左右する。
敗戦国であれば悪の権化の如く断罪され、しかしその一方で戦勝国であればその大量虐殺を非難されるどころか、自虐的な敗戦国から謝罪と莫大なODAをむしり取ることができるだろう。

ここではおそらく良い戦争とは解放戦争で、悪い戦争は侵略戦争のことを指すのだろう。
では何が解放で、何が侵略になるのか。
侵略を狙う国は、そこに自国に呼応する勢力や団体や住民をあらかじめ作ろうとする。
敵を分裂させてから攻め込むのは、孫子の兵法である。
例えば、中国が沖縄を支配したいと思えば、琉球王国の尚王族の子孫を探して、本領回復の独立戦争を起こさせ、それを「これは解放戦争だ」と言って支援するだろう。
つまり、その国の政権が「侵略だ」と認めれば侵略とされ、「自衛だ」と主張すれば自衛戦争とされるということである。

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