【Amazon.co.jp限定】「甘い鞭」間宮夕貴写真集 特製手枷付き の感想

※サンプル画像 クリックで拡大します

　間宮夕貴の素顔がうかがえる現場のスナップが、ところどころに挿入されています。むにょーんと首を突き出して机に身をもたせる姿や、寝台に長い手足を放り投げてころりんとする様子は毛なみの良いシャム猫みたい。こういうネコだったら、ぜひとも飼ってみたいものです。スタイルも良いけれど、ほんと性格も良さそう。

　このスナップをとり雑ぜた構成というのは今までの石井監督の写真集にはなく、意表をつくリズムを作るのですが、最後の頁まで丹念に目で追っていくと狙いというか想いが分かる気がしました。奥付の下の方に小さな文字で意味深な言葉が書かれてあります。たしかに臨場感が半端ではないのです。それも凄艶で容赦ない写真ばかりが並んでいます。

　ぼたぼたの雨に叩かれ、ねっとりと濡れて肌に貼りつく制服をうとましく感じながら雨宿りをしていたところ、突如背後から大きな影が襲ってきます。穴に落ちた不思議の国の少女さながら、最初から在り得ない、信じられない状況の連続なのです。容易に取り外しのきかぬ首輪をつけられ、そこから鉄の鎖がびーんと張って、彼女の行動をひどく制限していく。衣服を脱いだ男が羽交い絞めにし、深く交接することを迫ります。発育途上でまだまだ自己主張してこない、そんな固い乳房と戸惑うように起きた乳首が執拗に揉みしだかれてしまうのでした。迷子になって路地裏を右往左往する子猫を目撃するみたいな、切ない、儚い印象を見る者に与えます。

　写真集なので音はしないのですが、それゆえに深海であがくような、甘いバターが全身と顔に塗られていくような独特の濃さがあります。ぬめる銀の鎖がきりきりと空を裂き、彼女のお腹の下にある黒くて豊かな茂みの上を、縦一文字に、月あかりに浮かぶ飛行機雲みたいになって渡っていくカットの、とんでもなく悲しいような、ムズムズとこそばゆい感じというのは一体全体なんだろう。明け方の性夢が突然に目の前に広がるような感じで、もう言葉も思考もがんじがらめになっていく。逃げることを諦め、茫然と凝視めていくしか道はありません。