悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫) の感想
参照データ
タイトル | 悪徳の栄え〈上〉 (河出文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | マルキ・ド サド |
販売元 | 河出書房新社 |
JANコード | 9784309460772 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学 |
購入者の感想
この作品は主人公の成長が語られる、サド作品には数少ないもののひとつであり、はじめは情欲に導かれながら悪をなすだけだった未熟者が、やがて「哲学」をもとに悪をなすようになっていく過程が描かれている。ご多分に漏れず挿入される哲学談義は当時の思想を縦横に展開し、「剽窃作家」サドの側面とともに、サディスムの理論化という彼のアクロバットをも示すものだが、概して単調、煩雑である。
本書は抄訳とすることで、この問題をある程度解決している。また訳されている部分も的を得ており、真の悪の哲学者が生まれる過程を克明に追うことができるようにもなっている。主人公とともに悪の哲学者たちの教育を注意深く受ければ、俗化されたサディスムとはまったく異なるものが理解できるはずである。
日本の読者にとっては有効な翻訳ですが、澁澤節が嫌いな向きにはおすすめできません。
本書は抄訳とすることで、この問題をある程度解決している。また訳されている部分も的を得ており、真の悪の哲学者が生まれる過程を克明に追うことができるようにもなっている。主人公とともに悪の哲学者たちの教育を注意深く受ければ、俗化されたサディスムとはまったく異なるものが理解できるはずである。
日本の読者にとっては有効な翻訳ですが、澁澤節が嫌いな向きにはおすすめできません。