O嬢の物語 (河出文庫) の感想

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参照データ

タイトルO嬢の物語 (河出文庫)
発売日販売日未定
製作者ポーリーヌ・レアージュ
販売元河出書房新社
JANコード9784309461052
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学

購入者の感想

 30年ほど前になるか、「エマニエル夫人」に始まるフランス風ソフトポルノ映画が大流行した時代があった。
「O嬢の物語」も映画化された。
中学生だった私はモデルから転身したという美貌の女優の映画ポスターに通学路で遭遇したが、見ちゃだめかも…と下を向いて通り過ぎたものだ。 以来、この作品にサディスティックなポルノ小説というイメージを私は長く持っていた。
 しかし渋澤龍彦の翻訳はいかに?と、読み始めて肝を潰した。 
 この文学の完成度の高さたるや、読み終わってしばし呆然としてしまった。
 ファッションカメラマンである Oは、ある晩恋人にパリ郊外の館に連れて行かれる。 その館では男たちが自分の恋人をサディスティックな性の奴隷・人形に改造するべく教育を施していた。 O も抗うことなく、その教育を受け容れる。 恋人を愛していたからだ。 使われる道具、装う衣装のディテールまで事細かに表され、貴族趣味たっぷりの描写は真に迫っている。 性的なシーンに品格すら感じる。 性の奴隷となったO嬢に不思議な崇高さを感じるのは私だけではないはずだ。
 登場人物中、イニシャルだけなのはO嬢だけであるし、性的な行為の中でさえ彼女のエクスタシーの描写は全くない。 完全に彼女の人間性は抹殺されているように見えるが、実はO嬢自身がそれを望んだのだ。 気高く崇高な性の奴隷と成り上がっていく?様子が美しく端整な描写で表現されていく。 サディスティックな性の行為のひとつひとつが、まるで厳粛な儀式であるようだ。 この不思議な感動は何だろう。 いやはや本当に読んで良かった…

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河出書房新社から発売されたポーリーヌ・レアージュのO嬢の物語 (河出文庫)(JAN:9784309461052)の感想と評価
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