毒婦たち: 東電OLと木嶋佳苗のあいだ の感想

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参照データ

タイトル毒婦たち: 東電OLと木嶋佳苗のあいだ
発売日販売日未定
製作者上野 千鶴子
販売元河出書房新社
JANコード9784309246345
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 (講談社文庫)(北原みのり著)の出版をきっかけに催された座談会が、この本のもとになっている。
木嶋佳苗の不気味さを活写し、男社会の偏見に満ちた女性観や、男女の非対称性をあぶりだした傑作ルポに魅了されてから1年半。
最強トリオによる「毒婦語り」に興味津々で、本を手にとった。
ハッとさせられる数々の卓見や洞察、たびたび放たれる毒矢。和やかなムード。
期待をはるかに超えて、おもしろかった。

第一部「木嶋佳苗と東電OLのあいだ」が最も印象深い。
「援助交際」全盛期、90年代の渋谷でセックスを売っていた、木嶋佳苗と東電OL。
両者それぞれに、共感する女性が多数いたという北原さんの視点が、鼎談の起点となる。
「日本の女性たちの生きづらさや痛みは全然消えていない」。
「男性が、こういう事件を自分に引きつけて考えられないっていうのが不思議」(信田さん)。

木嶋佳苗の生い立ちに注目した、信田さんの考察はとても興味深い。
“団塊世代家族の虚構性”や性虐待、母娘関係が、その人格形成に影響をおよぼした、と。
そして、上野さんの厳しい言葉が、胸に突き刺さる。
「タテマエで家庭とか世間とかを守ってきた男が、自分に都合の悪いこと、自分にとって認めたくないことがあるときに、彼らはとにかく見たくない・聞きたくない・考えたくないっていう現実否認と逃避に走る 」。

東電OLの売春行為に対する、上野さんの見解も鋭い。
「ガラスの天井」で差別待遇に苦しんでいた東電OLにとって、「自分を値踏みする男たち」へのリベンジとして、男たちが「自分にアクセスする一番手近な方法」が売春だったのだ。
売春=援助交際、つまり「性的価値」の取引についての北原さんの言葉も、重く響く。

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