Slugger (スラッガー) 2014年 05月号 [雑誌] の感想

　本場米国のスポーツライターの翻訳記事も含む、セイバーメトリクス理論を駆使したクールかつ熱い誌面が特徴のマニアックな専門誌です。

　今回の特集記事ではやはり気になる田中将大やダルビッシュの活躍予想、引退表明したデレク・ジーターが一体どんな白鳥の歌を演じるのかが気に入りました。
　かなり辛口の評価も有り、単純な日本人選手讃歌に陥って居ません。

　新人・有望プロスペクトの記事は情報が比較的手に入り難い部分なので本誌の詳細さは参考になります。

　そしてユーモア部門では吉井理人氏の「MLB先輩ヅラしてスミマセン」と「MLB珍獣図鑑」が楽しく読めました。
　特に後者で今回取り上げられたクレインキーの特異な個性は70年代のフィリーズの求道的過ぎて奇人になってしまったエース、スティーヴ・カールトンを思わせ爆笑物でした。
　でも凄く真面目で頭の良い選手な事も解り興味深かったです。
　斯様な奇人とスカウティング・レポートでも取り上げられた野人プイーグ、そして聖人のカーショーが混在するドジャースは、相手チームやそのファンの反感を買うのも良く解りますが実に面白いチームですね。

　写真家；田口有史氏によるエッセイ「ダッグアウトの隣から」ではここでもジーターの素晴らしさについてカメラマンの立場から述べて居て感動的。
　「メジャーリーグのどこに学んだか」はアジア人として初めて米国スカウト教育を正式に受けた元ドジャーススカウト、小島圭市氏の興味深い話を聴く事が出来ます。
　後、今季から取り入れられる2つのルール改正とMLB全体で取り組み新守備評価システムにふれた「変化と進化」も実は変化に反対意見を示す人々も多々居る事をしめしており問題提起に優れて居ました。
　
　「殿堂入りしていない英雄列伝」はお休みでした。0