分断される日本 (角川文庫) の感想

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タイトル分断される日本 (角川文庫)
発売日2013-10-14
製作者斎藤 貴男
販売元KADOKAWA / 角川書店
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カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品

購入者の感想

 本書によって明らかにされる「構造改革」の正体とは、すなわち権力と権益を持った者にとって完璧に都合のいい社会の実現に手段を選ばず、その邪魔になる者すべてを排除するというもので、それは「狂人の政策」に他ならない。正邪善悪については「とりあえず度外視」どころか、はなから歯牙にもかけていないとしか思えない。
 こうした政治を許してしまった背景についてだが、すでに民主主義自体が形骸化している現状からすれば、改革の美名に騙された大衆による支持に責任を求めても解決にはならないだろう。むしろ「知らしむべからず、依らしむべし」でのお上の決定への服従と、何かにつけての現状肯定を強いられる構図にこそ、諸悪の根源があるのではないか。それが優位者から受けた苦しみを、さらなる劣位者のみにぶつける行為(=抑圧委譲)をも罷り通し、そのために為政者をつけあがらせ、彼らに自身の加害性を自覚させなくしているのだ。そして「人は現実を選べない」だけに、反動は免れ得ない。そこへ付け込んだ、私利私欲のためだけの現状打破を推進する手口が強引に取られたにすぎない。このためにリーダーシップを悪用する行為こそ、政治家として最も汚ない手段といえよう。
 やはり人間社会で大事なことは「思い知った現実をそのまま肯定・受容する態度ばかりを求められることこそ、社会の最悪の問題」「争いの原因を除くには、相手が復讐したくなるほどの侵害行為をしないことと、差別根絶への努力の2点以外にない」―これらをわきまえることだ。こういったことが「説明責任を果たさぬ決定」を是認させられているうちに、すっかり忘れ去られているのではないだろうか。

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