動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫) の感想
参照データ
タイトル | 動物農場: 付「G・オーウェルをめぐって」開高健 (ちくま文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ジョージ オーウェル |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480431035 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学 |
購入者の感想
開高健が1984年に翻訳し同年にリリースしたモノの文庫化。だから解説は「1984年」と比較することになっていて、なかなか興味深い。全体主義批判という同じテーマを扱っていても、結論的には開高氏は「1984年」よりはこの「動物農場」の方を高く評価している。あまりにも完璧すぎて、手を加えることがないほど、全体主義が陥り経験する愚かさのすべてを盛り込んでいるからだ。
その昔、原作を英文オリジナルで読んだことがあるが、翻訳を読むのは初めてであったが、開高訳ということもあり正解だった。実に面白かった。
開高氏が、オリジナル・リリースの20年ほど前、1960年代学生運動の闘士と対談したとき、件の闘士が本書を読んでいないことに愕然としたことを書いている。なるほど、「反スタ」をいうなら本書を読んでみよ!と言っているのもわかる気がする。
動物主義(Animalism:アニマリズム)のスローガン:「四本足よし、二本足だめ」が「四本足よし、二本足もっとよし」に変わる、変わらされることの怖さ・・・・・
その昔、原作を英文オリジナルで読んだことがあるが、翻訳を読むのは初めてであったが、開高訳ということもあり正解だった。実に面白かった。
開高氏が、オリジナル・リリースの20年ほど前、1960年代学生運動の闘士と対談したとき、件の闘士が本書を読んでいないことに愕然としたことを書いている。なるほど、「反スタ」をいうなら本書を読んでみよ!と言っているのもわかる気がする。
動物主義(Animalism:アニマリズム)のスローガン:「四本足よし、二本足だめ」が「四本足よし、二本足もっとよし」に変わる、変わらされることの怖さ・・・・・
開高健はオーウェルが大好きでした。なかでも『動物農場』を大人の読む寓話として、作品の完成度が高いと評価していました。物語は、人間に搾取されていた動物たちが反乱を起こし、成功して人間がいなくなると、ナポレオン豚が独裁者となって動物たちを抑圧・虐待するというもの。開高は「左翼、中道、右翼を問わず、一切の政治的独裁、あるいは革命というものの辿る運命を描いている」、反共宣伝にも利用された歴史がありますが、スターリン独裁に限らず、資本主義や官僚社会にも当てはまる寓話になっています。文庫の訳本には既に角川文庫(高畠文夫訳)と岩波文庫(川端康雄訳)がありますが、本作は開高健訳に開高のエッセィ、「一九八四年・オーウェル」「オセアニア周遊紀行」「権力と作家」「後記にかえて」を付け加えたもので、全276ページのうち、小説部分は前半136ページまで。後半は前述のエッセィです。これらのエッセィは開高の『今日は昨日の明日-ジョージ・オーウェルをめぐって』(筑摩書房,1984)から再録されたものです。エッセィは、『動物農場』を政治の現況に当てはめて読むケース・スタディを示しています。訳文はたいへんこなれていて、音読しやすい出来栄えです。