製品開発の知識 (日経文庫) の感想
参照データ
タイトル | 製品開発の知識 (日経文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 延岡 健太郎 |
販売元 | 日本経済新聞社 |
JANコード | 9784532108625 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ビジネス・経済 |
購入者の感想
本書は、製品開発について非常にわかりやすく説明したテキストである。製品開発論は、近年の経営学において精力的に研究が蓄積された分野であるが、これまで手頃な入門書に欠けている感があった。本書はそのようなニーズを満たす最初の邦書になるかもしれない。
より具体的には、次のような評価ポイントが挙げられる。
一つめは、さまざまな既存議論が体系的に整理されている点である。製品開発は、もともと学際的な経営学の中でもとくに学際性の強い分野である。そのためその知識を体系的に整理するのはなかなか容易ではないが、本書はそれをうまくクリアしている。
二つめは、製品開発に関する考え方や視点が重視されていることである。ややもすれば、具体例の羅列やヒット商品の開発秘話といったジャーナリスティックな記述に終始しがちな製品開発であるが、本書ではそうした個別事例の背後にあるロジックが強調されており、複雑な問題について考えるのに適している。
三つめは、記述に首尾一貫性があることである。広範な知識をカバーするために共著形式がとられるテキストが多いが、その代償として、全体像が見えにくくなりがちである。しかし本書は一人の著者によって書かれているため、話の流れが非常につかみやすい。
四つめは、読者の理解を促すような図が随所に用いられている点である。著者は前著でもみられたように、コンセプチャルな図式化に非常に長けている。
惜しむらくは、技術的複雑性の高い製品に比べて、市場ニーズの複雑性が高い製品に関する議論が少ない点である。また近年では、物理的な製品そのものだけでなく、サービスとの組み合わせが重視されてきているが、その点についての記述も欲しいところである。しかし紙幅の都合を考えれば、これらは諾うことだといえるだろう。0
より具体的には、次のような評価ポイントが挙げられる。
一つめは、さまざまな既存議論が体系的に整理されている点である。製品開発は、もともと学際的な経営学の中でもとくに学際性の強い分野である。そのためその知識を体系的に整理するのはなかなか容易ではないが、本書はそれをうまくクリアしている。
二つめは、製品開発に関する考え方や視点が重視されていることである。ややもすれば、具体例の羅列やヒット商品の開発秘話といったジャーナリスティックな記述に終始しがちな製品開発であるが、本書ではそうした個別事例の背後にあるロジックが強調されており、複雑な問題について考えるのに適している。
三つめは、記述に首尾一貫性があることである。広範な知識をカバーするために共著形式がとられるテキストが多いが、その代償として、全体像が見えにくくなりがちである。しかし本書は一人の著者によって書かれているため、話の流れが非常につかみやすい。
四つめは、読者の理解を促すような図が随所に用いられている点である。著者は前著でもみられたように、コンセプチャルな図式化に非常に長けている。
惜しむらくは、技術的複雑性の高い製品に比べて、市場ニーズの複雑性が高い製品に関する議論が少ない点である。また近年では、物理的な製品そのものだけでなく、サービスとの組み合わせが重視されてきているが、その点についての記述も欲しいところである。しかし紙幅の都合を考えれば、これらは諾うことだといえるだろう。0