「電機・半導体」大崩壊の教訓 の感想

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タイトル「電機・半導体」大崩壊の教訓
発売日販売日未定
製作者湯之上 隆
販売元日本文芸社
JANコード9784537259544
カテゴリジャンル別 » ビジネス・経済 » 産業研究 » 電気・電子

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破壊的技術が創出されイノベーションが起きると、高い技術力を持ち、高性能・高品質の製品を生産することによって市場を独占していた大企業がまたたく間に転落するという『イノベーションのジレンマ』が日本半導体の敗戦の1つの理由として上げている。メインフレーム用に25年保証のDRAMを提供していた日本は、コンピュータがPCにパラダイムシフトした後も、25年保証の高品質DRAMを作り続け、韓国、台湾の安く大量生産する破壊的技術に駆逐された。過剰技術による過剰品質製品を作り続けてきたが、PCに必要なDRAMはそんな高価で高品質なものではなかったからだ。できたものを売るのではなく、マーケティングに力を入れ、売れるものを創ることが必要だと指摘する。また、後半には今後日本の半導体社がどの分野で勝負すべきかを指摘している。

この本の中で著者は日本の半導体社がなぜ低い利益率となっているか? その原因をあげているが、この中に興味深い指摘が何点かある。
・日本のLSIメーカはシステムを設計していない。
 システムメーカの言うとおりにLSIを設計し製造しており、システム設計そのもので勝負していない。
・日本のメーカの組織の問題点
 若い時に技術に優れたものが出世して管理職になるが、マネジメントが得意と限らないため無能な管理職となる可能性が高い。一方で設計をし続けるのは、残った優秀ではないエンジニアだ。つまり、管理職もエンジニアも得意でない者が行なうことになり、会社の組織は無能化されるという組織のジレンマに陥っている。
・半導体製造工程の全体を俯瞰するエンジニアの不在
 半導体製造のステップは極めて複雑で、どの製造技術者も自分の担当以外の部分を理解しておらず、全行程を俯瞰し最適化するようなエンジニアが存在しない。結果としてどのエンジニアも過去の製造工程で必要であったものが、最新のテクノロジーでも必要なのかを判断できないことになり、工程は増える一方となる。これが高コスト化を引き起こしている。

非常に面白い内容となっているが、一点残念な点として、グラフや図がごちゃごちゃしていて、それぞれの趣旨を理解するのに少し時間がかかるし、そもそも数が多すぎる。改善するとより読みやすくなると思われる。

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