ガラテイア2.2 の感想
参照データ
タイトル | ガラテイア2.2 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | リチャード パワーズ |
販売元 | みすず書房 |
JANコード | 9784622048183 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » 英米文学 |
購入者の感想
小説家たる主人公リチャードが人工知能「ヘレン」の教育係として、彼女に文学的素養を教え込んでいく過程がメインプロット。一方でサブプロットとして、失われた過去の愛と新しい小説への取り組みなどが半ば自伝的に語られます。他のパワーズ作品同様、進行する複数のプロットが見事にひとつにまとまってより大きな意味を生み出すところに、彼独特の美学と知性とのハイレベルな融合を感じさせる大作と言えます。
作者はとにかく圧倒的な語彙と的確な比喩の言葉群で世界を埋め尽くすかのようにいちいちの感情や考えを描写していきます。しかし、特に破綻した恋愛の痛みを想起する部分など、畳みかける言葉の多さが、日本人的感覚からすれば逆に自然な共感を難しくしている箇所も感じられました。もちろん、「ヘレン」にはすべて言葉で教えてやらないといけないわけですから、言葉を紡ぐという行為自体、「ヘレン」の世界把握の仕方のアナロジーになっているのですが。
作者はとにかく圧倒的な語彙と的確な比喩の言葉群で世界を埋め尽くすかのようにいちいちの感情や考えを描写していきます。しかし、特に破綻した恋愛の痛みを想起する部分など、畳みかける言葉の多さが、日本人的感覚からすれば逆に自然な共感を難しくしている箇所も感じられました。もちろん、「ヘレン」にはすべて言葉で教えてやらないといけないわけですから、言葉を紡ぐという行為自体、「ヘレン」の世界把握の仕方のアナロジーになっているのですが。