まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts) の感想

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参照データ

タイトルまなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)
発売日販売日未定
製作者三浦 篤
販売元東京大学出版会
JANコード9784130830300
カテゴリノンフィクション » 歴史・地理・旅行記 » 歴史 » 人物評伝

購入者の感想

日本では収集が印象派に偏重していて見かけることがさほど多くはないが、欧米の大きな美術館に行くと、印象派や現代とともに、それ以前に描かれた多くの絵画を目にする。展示室じゅうに同じような主題の作品が並んでいるのであるが、そのような絵がどのような背景をもっているのかがわからず、消化不良のまま美術館を後にした経験を持つ日本人は多いだろう。この本は、そのような、背景を知ることで絵画芸術の理解が一気に広がる時代・ジャンルの絵画を中心に講じたものである。

講義調で読みやすく、世界史の知識がなくても十分楽しむことができる。読書案内もついており発展性もある。もちろん、この本で得られた手がかりは、後の時代、あるいは異なるジャンルの絵画の鑑賞をも豊かなものにするに違いない。絵画を理解したいが、その対象が既に馴染みのある19世紀以降のものである人にとっては、一見満足な内容ではないだろうが、そのような人にこそ、うってつけかもしれない。惜しむらくは、図版が白黒なので必ずしも見やすいとはいえず、原題あるいは英語表記があればinternet上からカラー版を利用できるチャンスをいくらか小さくしてしまっていることくらいだろう。

昨年来日したルーブル美術館展などもそうであったように、来日する特別展には、この本で扱われているような作品が多く含まれている。たとえ、それを目的に見に行くわけではなくても、せっかくの名画を見るチャンスをむざむざと逸してしまっては勿体無いし、後でこの本に書かれているようなことを知って後悔しないためにも、一読をお勧めする。

 東京大学教養学部での講義をもとに構成された1冊。イタリア・ルネサンス期からフランス革命期までの西洋伝統絵画を対象として、鑑賞のための基礎的な知識を示してくれる。
 絵画の楽しみ方は無数である。しかし神話画・宗教画・寓意画などは、西洋の神話や聖書などの知識を背景として描かれており、また時代的地理的条件が及ぼす影響も大きいため、まずそれらに関する知識を得ることが、鑑賞の第一歩となる。
 著者は、無知・無防備な状態で絵画を恣意的に見ることの不自由さと、知識におぼれることの危険さの双方を充分に理解した上で、「見ること」の意識化と訓練の重要性を説く。「まなざしのレッスン」というタイトルはここからきている。
 予備知識のない学生を想定しているだけあって、初心者にも非常にとっつきやすい内容。難点は、絵画の写真がモノクロで小さめであることか。口絵カラーでも何点か紹介されてはいるのだが、講義では他の絵にも多数言及しているので、見づらくて困ってしまう。私はネット上の画像や手元の画集で各作品の色などを確認しながら読み進めていった。
 しかし説明そのものは大変わかりやすく、「ややもの足りない」という人には各章末の「文献案内」で他文献への手引きも行ってくれている。
 ルーベンス『パリスの審判』で、ヘラ・アテナ・ヴィーナス(3人とも全裸)を見分けるには? ボッティチェリ『春』で、ヴィーナスの左右にいる男女は誰なのか? など、美術館で有名な絵を「ただ眺めるだけ」から一歩進みたい人に、初めの1冊として適した書であるだろう。

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まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)

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東京大学出版会から発売された三浦 篤のまなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)(JAN:9784130830300)の感想と評価
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