海に住む少女 (光文社古典新訳文庫) の感想
参照データ
タイトル | 海に住む少女 (光文社古典新訳文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | シュペルヴィエル |
販売元 | 光文社 |
JANコード | 9784334751111 |
カテゴリ | ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 » フランス文学 |
購入者の感想
大海に浮かんでは消える町に住む年をとらない少女を描く表題作「海に住む少女」。キリストが誕生したとき傍にいた動物の心を書いた「飼葉桶を囲む牛とろば」。ちょっと目線を変えた、不思議な世界の短編集である。
多分好き嫌いがはっきりする作品だろう。何かをはっきり主張するような話は少ない。読んだ後は悲しさやせつなさ、かすかな滑稽さなどのような情感が心にのこるだけ。ある場面を切り取った画のようでもあるが、画とすれば柔らかい色調の抽象画であろうか。情景から色だけ、あるいは香りだけが広がり、読んだ後も余韻としていつまでも漂っている感じである。その余韻がかなり長く残る、というのもあまり感じたことのない不思議な読後感であった。
何をいいたいのか、もどかしいような、結末もはっきりしないような作品もある。意味を考えるより、このような雰囲気を味わうことを楽しめばよい作品だと思う。
作者は1884年生まれのウルグアイ出身の作家。堀口大學など、多数の人が訳しているそうであるが、現代ではあまり知られていない。訳者は作者を「フランス版宮沢賢治」と表現している。こんな古典もあった、と知らされた。
多分好き嫌いがはっきりする作品だろう。何かをはっきり主張するような話は少ない。読んだ後は悲しさやせつなさ、かすかな滑稽さなどのような情感が心にのこるだけ。ある場面を切り取った画のようでもあるが、画とすれば柔らかい色調の抽象画であろうか。情景から色だけ、あるいは香りだけが広がり、読んだ後も余韻としていつまでも漂っている感じである。その余韻がかなり長く残る、というのもあまり感じたことのない不思議な読後感であった。
何をいいたいのか、もどかしいような、結末もはっきりしないような作品もある。意味を考えるより、このような雰囲気を味わうことを楽しめばよい作品だと思う。
作者は1884年生まれのウルグアイ出身の作家。堀口大學など、多数の人が訳しているそうであるが、現代ではあまり知られていない。訳者は作者を「フランス版宮沢賢治」と表現している。こんな古典もあった、と知らされた。