Prometheus: Discipline of Fire & Demise の感想

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参照データ

タイトルPrometheus: Discipline of Fire & Demise
発売日2001-11-08
アーティストEmperor
販売元Candlelight
JANコード0803341109827
Disc 1 :The Eruption
Depraved
Empty
The Prophet
The Tongue Of Fire
In The Wordless Chamber
Grey
He Who Sought The Fire
Thorns On My Grave
カテゴリミュージック » ジャンル別 » ハードロック・ヘヴィーメタル » ヘヴィーメタル

購入者の感想

イーサーン(vo,g,b,key) サモス(g) タリム(dr)

ノルウェー出身、スカンジナヴィア半島に君臨する闇の皇帝。ブラック・メタルの中心的バンドの、ギリシャ神話に登場するプロメテウスの名を冠したアルバム。2001年発表4th。

この時点ですでに、サモスとタリムはEmperorよりさらに攻撃性に特化したZyklonを本格始動させており、イーサーンも彼の妻であるイーリアル嬢と共に、プログレッシブかつアンビエントな特性のプロジェクトPeccatumで数枚の作品をリリースしている。
このそれぞれのバンドを離れた個人活動については、メンバーの「ここ数年のうちに自分たちの個人的な嗜好の違いがどんどん広がってきていて…」という発言がそのまま当てはまるだろう。

だからこそ、個性や嗜好の異なるメンバーが集ったEmperorというバンドは、イーサーンの紡ぎだすドラマ性ととサモスやタリムの攻撃性が絶妙に融合した、他の追随を許さない崇高かつ孤高のバンドであり続けることができた。

そして、本作はそんなEmperor流ブラック・メタルのまさに最高峰。1曲1曲に壮大なドラマがあり、完璧に芸術の域に達している。暴風雨の如き獰猛さ。荒涼たる静寂。地獄の業火の如き苛烈な音像と、その上をなぞる儚げなストリングス。邪悪さと神々しさが交互に襲いくる、荘厳な暗黒オペラ。

本作を最後に、Emperorは解散。10年の歴史に幕を閉じ、メンバーはそれぞれ次のステージへと進み、音楽活動を続けていくことになる。

楽曲の荒々しさという点では過去のアルバムに譲るが、完成度という点ではこのアルバムである。したがって、Emperorを初めて聴く人にも、もちろんおすすめしたい一枚である。
アグレッシブで殺伐とした曲展開をオーケストレーション的手法で盛り立てるという手法は、まさに「極限を目指す」というメタルの精神を体現したものであり、しかもこの手法が成功していることは楽曲を聴けば理解できると思う。The Eruptionの吐き気のするような邪悪さ、Thorns on My Graveの毛羽立つような寒々しさなどは壮絶だ。まちがいなく各曲に怒りや抑鬱や落胆が込められていながら女々しくなることはなく、むしろ壮麗で堂々とした美しさを誇っている。たとえばEmptyでは美しさの面が如実に感じられる。
ところで、本来、メタルの曲展開とオーケストラ的な和音の進行は、全く異なるものである。通常はRhapsodyのようにメタルの展開がオーケストラの手法に合わせるという方向となることが多いのであるが、Emperorにおいてはオーケストラ的方法をあくまでスケール感をアップする点にだけ使っている点が特筆すべきである。このバンドの曲はクラシックをなぞったネタメタルやネオクラに括られるものではなく、きわめて純度の高いブラックメタルのものである。ここがたとえばDimmu Borgirとは一線を画するところだと個人的には思う。ネオクラやシンフォメタル路線からEmperorに入った人は、はじめは馴染めないかもしれないが、ブックオフには売らずに棚に置いておくべきだ。邪悪で沈痛で暴力的なメタルを欲した時に、きっと心に染み込んでくるだろう。そして、この作品の恐るべき完成度とともに、美しさを実感できるはずだ。
Emperorが「醜悪で高貴」という類稀なるバンドであることを明確に提示した優れたアルバムである。

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