貧者を喰らう国: 中国格差社会からの警告【増補新版】 (新潮選書) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル貧者を喰らう国: 中国格差社会からの警告【増補新版】 (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者阿古 智子
販売元新潮社
JANコード9784106037573
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

「密告制度を設け、情報を遮断する国に発展はない」と新聞でコメントした言葉に引かれて本書にたどり着いた。中国人の生活の様々な問題を実に詳細に具体的に数字を挙げて、中国政府の曖昧で、不透明で矛盾した政策によって七転八倒して苦悩する庶民の様子を実によく描いている。著者は中国政府の政策の矛盾を具体的に何項目にもわたって挙げているので、中国の為政者の回答を聞けるようなシンポを是非開催してほしいと思った。日本は中国を仮想敵国として安保方案が成立した、一方中国人の訪日観光客はどんどん増えている。本の中で「虚偽は毛沢東から始まった」とある。来日する中国人留学生、ビジネスマン、観光客は、背景として家庭では文化大革命を経験した親たちから、自分の発した一言が災いを招いた経験から子供には発言に注意するようを促し、政府は密告制度を設けて、情報を遮断し、言論統制を敷いている。そうした言論の自由が無い国から来日する彼らは全身を虚偽で覆って自分を守っていることを日本人は知らなければならない。来日する中国人が多くなった今日、日本人はこの本を読むことによって、仮想敵国と言われる隣国の人々は自国の自慢や喜びは語ることはあっても、決して語ることはない悩みや苦悩を知ることによって、より優しく、よりよい交流が出来るのではないかと思う。著者は日中の交流は官による交流に偏っていたと言及しているが、何故著者のフィールドワークがここまでできたのかと思ったが、駐中国大使館の協力があったことを知った。本の中で著者は若者の気持ちが分からないと言う箇所があった。日本政府は平和な戦後日本を見せるために莫大な血税を使って数千名の中国人高校生を日本に招待して日本人高校生との交流を行ってきた。今年安倍首相は「先の世代の子供たちに謝罪を背負わせぬ」と発言、一方今年来日したドイツの「記憶・責任・未来」財団の職員は「若い世代は過去の歴史を知らないで生まれてくる。まず知ることが重要だ。それがより良き未来に繋がる」と、同財団はナチ時代に強制労働をさせられた約六百人分の動画や録音インタビューをインターネットで公開し、ドイツの学校で教材として活用している。そのほか相互理解を深めるため、強制労働の被害者をドイツに招き、若者たちとの出会いの場を作っている。日独の過去の毒を抜くためのやり方が如何に違うか。ドイツの元首相の「補償が先で、謝罪は後である」と

まず読後の総括として簡略な感想を言えば、本書のタイトルは些か挑発的ながら、著者の意図は「選書版あとがき」を読む限り、タイトルから感じるほどの中国国家の破滅的終焉を予測するものではなく、日・中の「和解に向けた対話」(252頁)を望むもので、かかる著者の姿勢を観るとタイトルとの乖離が感じられる。各論では中国国家の様々な政治的・社会的暗部、腐敗、体制的矛盾等を批判的かつ詳細にレポートしているが、「選書版あとがき」を読むと、本書のタイトルは著者が望んだものなのか疑問に思う。それはさておき、本書は2009年刊の同名書の「増補新版」であり、特に第6・7章等が加筆されている(8頁・「選書版あとがき」)。第6章では、中国社会のネットの普及と世論・言論の形成、不正の摘発、高速鉄道事故に関するネットの影響、劉志軍の検挙・失脚、形骸化した中国憲法、第7章では薄熙来事件と共産党独裁の矛盾、病める国家の行く末等からなるもので、初版以降の新しいトピックである。このページの上の「商品の説明」にあるように、本書のコンセプトは「『格差』が人間を破壊する……共産主義の理想は、なぜ歪んだ弱肉強食の社会を生み出したのか……中国社会の暗部に深く踏み込んだ研究者による衝撃レポート」であると言え、特に「共産主義」を標榜しながら、「改革解放」政策に依る市場経済と言う歪な国家体制が産み出してきた弊害、具体的には政治腐敗と貧富格差などに焦点を当てながら、“病める中国”について自身のフィールド・ワークを元に詳細にレポートする。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

貧者を喰らう国: 中国格差社会からの警告【増補新版】 (新潮選書)

アマゾンで購入する
新潮社から発売された阿古 智子の貧者を喰らう国: 中国格差社会からの警告【増補新版】 (新潮選書)(JAN:9784106037573)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.