はじめて読む人のローマ史1200年(祥伝社新書) の感想

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参照データ

タイトルはじめて読む人のローマ史1200年(祥伝社新書)
発売日販売日未定
製作者本村 凌二
販売元祥伝社
JANコード9784396113667
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » ヨーロッパ史 » ヨーロッパ史一般

購入者の感想

 著者は1947年生まれの東京大学名誉教授。古代ローマ史に関する著作を物してきた人物です。
 私自身は古代ローマ史の門外漢ですが、イギリスやスペイン、ドイツなどヨーロッパ各地を旅するとそこかしこに顔を出す古代ローマの遺構を目にして、帝国の版図の広さに常に思いを馳せてきただけに、手ごろな歴史入門書はないかと探していたところでした。この本はまさに私のような初心者にはうってつけの書で、数時間で1200年の古代ローマ史を通観できます。

 <個>に重きを置いたギリシアの都市国家とは異なり、ローマ人は自由を重視しながらも<公>を大切にしており、それが強大な軍事力を生み、版図の拡大につながった。
 版図の拡大に際しては、徐々に足場を広げるように近隣の土地を支配下に置き、それでいてローマから離れた土地もローマの一部だという考えを持っていたため、近代の植民地とは異なり、すべての土地の人々が自分はローマ人だという意識をもった。
 ローマでは公共事業は国家が担うものではなく、裕福な貴族の個人負担によって進められた。巨大な水道橋や遠くへと続く舗装路を作ることで社会的な権威を発揮できるため貴族は競うように公共事業を担った。その結果「小さな政府」によって広大な帝国を維持することが可能となった。
 ただし、インフラの修繕には貴族は腐心しなかった。修繕程度では社会的アピール度が低かったからだ。こうして老朽化したインフラは顧みられず、国力の低下につながった。
 奴隷制経済のもとでは、より便利で効率的な経済活動を目指す工夫に目が向けられなかった。これもローマの衰退の一因だと考えられる。
 ローマの国力の低下により、不安定な社会の中で古来の人間関係が揺らぎ、人と人との結びつきが弱まったために、人々が個々に救いを求めた結果キリスト教が人々の間に浸透していった。
 
 著者は、「です・ます」体の簡明な文章で、こんな風に分かりやすく古代ローマの社会経済史を綴ってくれるのです。
 そうだったのかと、膝を打ちながら頁を繰りました。

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