ほんとうに頭がよくなる「速読脳」のつくり方 (PHP文庫) の感想

速読ができる人は前提知識があるため、熟読しなくても速読できるというととです。
本を何のために読むかということを考えれば従来の速読が無意味だということに気づかされます。
1日10冊読書をしない人にとっては速読は不要でじっくり読んだ方が無難です。
そのような内容が書かれていました。

<概要>
・ディープな速読法の本ではありません。速読技術は「行のまとめ読み」が主です。
・ただし投下した時間の割にはリターンの高い方法を解説しており、速読マニアで無い人にはお勧め。
・フォトリーディングについては一般に言われている効果には否定的です。
・むしろ、読む必要が無い本を選り分ける速読法として有用、と述べています。
・速読にシャカリキになる本ではなく、むしろ、全体的な思考力を強化する部分が主だと思います。
・最後に強化した力を何に向けるの？という話の流れになっており、それがこの本のメインテーマです。

<トータルでの速読の効率を重視>
この本は速読をそれほど深く掘っておりませんが、本書で述べている著者の体験ベースでは、著者が
速読を「本の内容を素早く吸収して、そのメリットを享受する」という本来の目的通りに使いこなして
いることは明らかだと思います。

フォトリーディングや瞬間視のようなハイレベルの速読法は、
・習得にかかる時間が多大。
・実際に習得するにはセミナー受講が必要で、それでもできない人はできない。
・本人の資質により習得できる可能性にばらつきがある。
・習得中は対象の本の内容を眺めることはできても読むことができず、時間が無駄になる。
・NASAで技術書のフォトリーディングを評価したところ、「誤読を誘うため使えない」と判定された。
という問題があると言われており、実用的なレベルで使えるものなのか疑問に思っていました。

本書で述べている速読法は↑の問題を全てクリアしており、速読練習をしながら、本の内容を読む
こともできるため、どちらにせよ時間の無駄は少なく、現実的な方法なのではないかと感じました。

<まとめ>
多数のメソッドに触れている本ではありませんが、
・現実的な速読の習得
・全般的な思考力の強化
・得られた力をどうつかうか？
というように最終的なテーマに向けて整理されており、使いやすく、読みやすい内容だと思います。