白文攻略 漢文法ひとり学び の感想

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参照データ

タイトル白文攻略 漢文法ひとり学び
発売日販売日未定
製作者加藤 徹
販売元白水社
JANコード9784560086322
カテゴリ人文・思想 » 言語学 » 日本語・国語学 » 日本語研究

購入者の感想

この本は漢文を外国語として扱い、文法として記すという方針です。そこが従来の漢文法の本と大きく異なる点です。

漢文が高校の教科の国語に含まれるのは不思議ですね。日本語とは異質な古代の外国語です。訓読文の形で日本語の表現に取り込まれてはいますが。

今までの漢文法の本は訓読法に基いていました。この字は読まないから置き字だ。この字は二度読む再読文字だ。英語の
There is a book on the table.
にレ点や一二点を付けて、その机の上に或る本あり、と読み、このthereは置き単語だ、と言いますか。

訓読法は簡易翻訳の技法です。まず機械的に日本語に訳し、その後に意味を考える。この考えが明治以来の西洋語の文献の理解に悪影響を与えてきました。Kantのder Verstandを悟性と訳し、さて悟性とは何かと漢字の意味から悟ろうとする。そういう理解が行なわれてきました。You shouldを「すべき」と訳し、you had betterを「したほうが良い」と訳し、「べき」よりも「したほうが良い」が丁寧な言い方と誤解させる教育です。アメリカの大学の教員を「なぜ東洋人の学生はそういう高圧的な言い方をするのか」と困惑させ、時に怒らせます。

論語の「有朋自遠方来」を「朋(とも)あり、遠方より来たる」と訓読し、「友だちがいて、遠くからわざわざ訪ねてきた」と誤解する人が多くはないでしょうか。正しくは「遠くから来た友人たちがいる」という意味です。朋を自遠方来が後ろから修飾します。漢文には名詞の数も動詞の時制もありません。「学而時習之」を「学んで時にこれを習う」と訓読しますが、この「時」が「ある時」なのか「時々」なのか、「習」が「復習する」なのか「実践する」なのか、はっきりしません。漢文は簡潔を重んじます。そのため解釈が多義的になります。また「之」は「習」が動詞であることを示すためです。「学」は「学ぶ」なのか「知る」なのか。日本語の「学ぶ」には「身に付ける」という意味がありますが、全体の意味から考えると「(真理や道徳)を知り、それを(実生活の中で)活かす」という意味ではないでしょうか。

漢文が読めるようになれればいいけど、白文まではなあ・・・と思っていた。
実際、本書をざっと読んだ後でも、自分が白文を読めるようになるとは思えない。
ただそれは、本書のせいでなく、自分の能力的、時間的な問題である。
訓点を施したものを読む程度であっても、構文的なものがどうなっているかを知っておくほうがいい。
とはいえ、漢文法というものは、英語や日本語の文法に較べると、かなりあいまいなもののようである。
本書によれば、漢文というのは自然言語ではなく、人工的な書記言語とのことで、だったら文法がガチガチにあってもいいような気もするが、実際はそうでない(句法のレベルではそれなりにある)。
まあそういったことが分かるのでよいし、記述には信頼が置ける。
なお、紙が分厚いので、読みにくいし、重いのは難点。

類書では斉京宣行『句形と語法がわかる 漢文基礎トレーニング』(駿台文庫)を特にお勧めしたい(「あとがき」の真摯さ、謙虚さが好ましく、学習意欲を増す)。
某著者の講談社学術文庫の分厚い入門書は、下品すぎて気に入らない。

親しみ易い例文で、初心者でも読みやすく構成されています。漢文を暗記するのが苦手な人も安心して、素読するコツを得ることができます。白文に挑戦する勇気をもらえると思います。

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