かもめの叫び (角川文庫) の感想

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参照データ

タイトルかもめの叫び (角川文庫)
発売日販売日未定
製作者エマニュエル ラボリ
販売元角川書店
JANコード9784042848011
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

初版のハードカバーの本書に出会ったのは、もう随分前のことです。確か、著者のエマニュエルさんのお祖父ちゃんにあたる方が、クロールプロマジンという化学物質の脳への鎮静的な効力を発見し、その後、現代の精神科薬物療法の扉が開かれていく端緒をつくった方だったと記憶しています。エマニュエルさんは生まれつきの聴覚障害のために音や言葉を耳で聴き取ることができず、多くの聴覚障害者がそうであったように、健聴者の唇の動きを読み取って何を言っているか理解するという厳しい訓練を受けさせられたようです。また、自分の発する声の聴き取りができないのに、相手に分かるように発音することも求められます。そのような中で、対話の楽しみを享受することは不可能で、対話することは苦痛となります。そうした状況の中で、人間の自我(私が他者ではない、他ならぬ私であること)の形成がどのような影響を受けるかを、エマニュエルの物語は、非常に興味深く示唆してくれます。彼女が手話という表現、伝達方法に出会い、仲間との制約の少ない対話が可能となって以後、漸くエマニュエルというこの存在が、「私」に他ならないのだということを理解した、という下りは、非常に動かされた箇所でした。彼女は今もフランスで女優として活躍されていると聞きます。ご一読を勧めたい作品です。

彼女は耳が聞こえない女優です…
そんな彼女の苦悩を描いたのがこの本です。

この本はある意味日本の
聴覚障害者へ対する教育への警鐘を
促す本だと思いました。
フランスでは著者が生まれてしばらく経つまで
法律で「手話」が禁止されていたのです。

したがって、そういった学校でも
手話はタブーとされていて
授業で使われることはありませんでした。
だけれども著者は唇を読んで話を理解することに対し
違和感を感じ、行動していったのです。
だけれども…

やがて精神が廃れ、ボロボロになっていく
描写もあります。
本当に世の中と言うのは不平等だな、
とつくづく感じました。
優遇されないといけないのはこう言う弱気ものなのに…

ちなみに、このフランスは幸せだと思います。
20年前に法律は消えたのですから。
だけれども、日本のそういう学校では
未だに手話はタブーだそうです。
それはとある聴覚障害者の学校を設立している
学長の方がそう言っておりました。
なぜ彼らの言語を学ばせようとしないのでしょうか…

聴覚障害の世界を知ることのできる
本当にすばらしい本でした。

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