古代エジプト 失われた世界の解読 (講談社学術文庫) の感想

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タイトル古代エジプト 失われた世界の解読 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者笈川 博一
販売元講談社
JANコード9784062922555
カテゴリ歴史・地理 » 世界史 » 古代史 » 古代エジプト史

購入者の感想

本書はこのページの上の「商品の説明」にあるように、「ヒ エ ログリフ……古代エジプト……遥か紀元前3000年から アレクサンドロス大王遠征までの……宗教、死生観、言語と文字、文化などを概観する」ものである。「アレクサンドロス大王」遠征以後の、いわゆる「プトレマイオス朝」は考察の対象に入っていない。尤も「第1王朝」から「プトレマイオス朝」以前の「後期第31王朝」までのうち、特質ある時期・事象等を著者の視点でピック・アップして展開する。構成・内容は、同前「登録情報」最下段の「目次を見る」に示されるので本稿では言及しない。個人的に興味を惹いたのはやはり、ヒ エ ログリフ(ヒエラティック)の基本解説である(第5章)。図解で意義や音を示しており、表音文字と表意文字の組合せ、「コプト文字」との関連、読み方の向き(左→右・右→左)の規則、パピルスでの記載方法など、内容は高度だが特徴などの概要は私でも理解できて興味深い。

解釈に苦労したのが、第6章の「文学作品」である。翻訳の“巧 拙”ではなくて、原文の構造・表現の本質(原文の表現自体の拙さなのかレトリックが高度なのかは判断できない)に依るのだろうが、ストーリーを把握するのに時間がかかる。特に『ホルスとセツの争い』(197〜214頁)では、「ホルス」と「セツ」は共に父母を同じくする「きょうだい」ながら(198頁)、「セツ」が「ホルス」との間で「妊 娠」するという行りがあって(208〜209頁)しばし悩んでしまった。ここでの描写を注意深く読むと、右両者が生物的に男性であると理解できるのだが、極論すると生物的な性別(「きょうだい」)事情は、当時の神話的虚構において然したる意義を持たないと理解すべきなのだろう。各作品冒頭に著者の粗筋解説があるので大略は掴めるが、右解説がないと(私には)内容の理解に手こずる「作品」という印象である。全体的にはやや高度で、著名なファラオやヒ エ

本書はこのページの上の「商品の説明」にあるように、「ヒエログリフ(神聖文字)、スフィンクス……古代エジプトには、どのような人々がどのように暮らしていたのか。遥か紀元前三〇〇〇年からアレクサンドロス大王遠征までの……数少ない資料を丹念に解読、その宗教、死生観、言語と文字、文化などを概観する」ものである。「アレクサンドロス大王」遠征以後の、いわゆる“プトレマイオス朝”は考察の対象に入っていない。尤も「初王国朝」の第1王朝から、プトレマイオス朝以前の「後期」第31王朝までおしなべて考察するものでもなく(物理的に無理もあり)特質ある時期・事象等を著者の視点でクローズアップする。「アメンホテプ4世」、「ツタンカーメン」、「ラアメス2世」(第19王朝のファラオで、“ラムセス2世”の方が馴染みやすいが本書の表記に従う)、「ラアメス2世」を象徴する「アブシンベル神殿」や「カデシュの戦い」、文化、ミイラの作成法、王墓の盗掘、ヒエログリフ(ヒエラティック)の基本解説、パピルスに観る文学(神話)作品などが主たるトピックであり、編年調の歴史解説ではなく、古代エジプト(後期王朝中心)のエジプト文化・民俗・政治・経済史と観た方が良いだろう。なお本書は1990年に出版されたものの文庫による再版(加筆・修正:エジプト語による神話作品などの邦訳など追加)である(「学術文庫版あとがき」より)。但し、ツタンカーメンなどの最新分析(研究報告など)に依る死因等の言及はない。

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