人生について (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 人生について (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 小林 秀雄 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122005426 |
カテゴリ | 文学・評論 » エッセー・随筆 » 日本のエッセー・随筆 » 近現代の作品 |
購入者の感想
文庫本で唯一、ベルクソン論へと発展した「感想」が所収されている。そこが他の小林作品の文庫本との大きな違いだ。この文章だけでもこの本を買って読む価値は大いにある。そこでは「童話的経験」と称して、大きな蛍火となった亡き母の魂との邂逅が描かれている。日本の近代で最高の批評的知性が、超常現象についてあからさまに語った問題作である。小林は実はモーツアルト論を書いたときに、それを母親の霊魂に捧げている。それはその実在を信じたうえでの献辞だったのだ。 「感想」はその後、ベルクソンへの言及を深めていって、アインシュタインとの論争のところで未完状態で終わった。私は雑誌のコピーで読んでいたが、長らく全集にも収められないでいた(最近の新しい全集と全作品には入っている)。この本におさめられているのは第1回目掲載分だけだが、中村光夫はここに以後のテーマは提出されているのだと言ったという。その中村光夫はどうしてあんなものを小林に書かせたのだと周りから責められたらしい。ほかには「私の人生観」「セザンヌ」が秀逸。0