裏庭 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル裏庭 (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者梨木 香歩
販売元新潮社
JANコード9784101253312
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » な行の著者

購入者の感想

実はこの本を購入したのは3回目。一冊目は娘が中1、息子が小6のころ。まず私がはまり読み終わった本を息子がよんではまり、ついで娘がはまり、読み終わると、娘は書店で次々と梨木香歩さんの作品を購入。それをまた、私や息子が次々回し読みすることになるのですが、回ってくる番を待つ間にまちきれず、必ずまた読みかえしたくたくなるのがなぜかこの裏庭。 それは私だけではなく、子供たちにとっても、24歳と、22歳になっ現在でも、ときどきむしょうに読みたくなる1さつのようです。あまりのにぼろぼろになり、数年前に息子が再購入、まだまだこの先も同様に繰返し読み続けそうなので今回もう一冊で、とうとう3回目の購入になりました。

ちなみに、我が家はそれぞれが好きな作家、好きな本が大量にあり、それぞれ勝手に買いまくり、読みまくってもそれほどだぶるlことはないのですが、小川洋子さんと、裏庭と、オテル モル だけはなぜかよくかぶります。

第一印象は、バーネット作「秘密の花園」に似てる!でした。(悪い意味では無いです)
1.親から充分な愛情を注いでもらえない子供が、→レストランを経営する共働きの両親を持つ小学生・照美が
2.長いこと閉ざされていた庭に入り、     →戦前にバーンズ一家が住んでいたが今は廃墟となった洋館の「裏庭」に入り、
3.そこでの体験を通して成長していく。    →「裏庭」での冒険を通して、本当の自分とは何かを考え、成長していく。
こうした大まかな流れがよく似ていると思います。とはいえ、こちらのお話はもっとファンタジーに満ちて、複雑でした。

ここでいう「裏庭」とはただの庭ではなく、もっと広い、人の心の中を映したような抽象的な世界です。「裏庭」世界の崩壊を知らせるべくなり続ける礼砲。3つに分かれた藩のそれぞれに存在する親王樹とそこに住む3つ子のおばば達。藩の人たちに蔑まれて雑用を押し付けられる、雌雄同体で通常は双子のコロウプと呼ばれる者たち。貸し衣装屋を営む「職を持つ」特別なコロウプ、ソレデとカラダ。地下深くに存在するが、そこから生きて帰った者はいないという「根の国」。世界の終わりを感じて地上へ這い出してきたハッカクモグラやクロミミズなどの奇妙な地中の生き物。大地の向こうに高くそびえ、何者も寄せ付けない空気を放つクォーツァスの峰。時々コロウプの泉に現れるという「幻の王女」。。。そんなファンタジーな世界を、ムーミンに出てくるスナフキンのような風貌の庭番スナッフと、双子の片割れと手を失ったコロウプ「テナシ」と一緒に、バラバラになった「1つ目の竜の骨」を元に戻すべく、テルミィ(裏庭での照美の名前)は旅に出ます。旅の道中はまるでファンタジーのロールプレイングゲームのようでした。しかし、物語は段々厳しく、核心に迫っていきます。旅を続ける中でテルミィは「本当の自分」に向き合わざるを得なくなります。それはつまり、自分の抱える問題(両親との希薄な関係)や、思い出したくない辛い経験(自分のせいで双子の弟を亡くした)も含めて、自分を構成するもの全てに目を向け、きちんと消化するという作業です。そうして本当の「私」を発見した照美は、一回りも二回りも大きくなって元の世界に戻ってきます。

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