症例から学ぶ戦略的てんかん診断・治療 の感想

本書は実臨床でよく遭遇するてんかん診療の問題点を、実際の症例提示を行いながら詳細にまとめられている良書である。外来での診察所見からは異常を指摘しにくいてんかん診療において、現病歴は特に重用視されるものであるが、本書では症例提示の際にその現病歴に焦点があてられ、重要なキーワードには解説が付けられている。脳波所見は異常所見のあるページのみ記載されており、どこの、どういう部分が異常であるかかがはっきりしている。症例提示の後にはその症例を通した総合解説が記載されており、そこではとりわけ抗てんかん薬の使い方について語られていることが多い。これは種類の多い抗てんかん薬を上手に使い分ける上で、とても役立つ情報である。以上から、臨床の現場においてとても役立つ一冊であると言える。