新装版 集合とはなにか はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス) の感想
参照データ
タイトル | 新装版 集合とはなにか はじめて学ぶ人のために (ブルーバックス) |
発売日 | 2013-11-08 |
製作者 | 竹内外史 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 登録されていません |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 |
購入者の感想
本書は「集合論の概説書」あるいは「入門書」というよりは、「集合とは何か」を考える本である。「はじめて学ぶ人のために」という副題はミスリーディングで、読者対象はある程度以上集合論を弁えている数学専攻者、あるいは論理学や哲学の専攻者であろう。ある程度の素養がないと、面白いことは面白いだろうが、本当に味わうことはできないと思う。
公理の体系をきちんと述べ、集合論を展開するだけなら、(他書を写せばよいのだから)だれにでも可能だが、記号使用を最少に止め、自然な言葉によって雰囲気をわからせるというのは一流の学者であり、独特の個性を持つ竹内さんだからこそ可能だったと思われる。こうした一般書を書く際には、同業者の目を意識しないでは書けないものだが、本書の場合はそうした配慮は一切なく、自分が思ったように書かれている。そういう意味でも貴重な本である。
実に巧みに、竹内節を交えながら、集合論の(1960年代までの)全貌が書かれていて、同じ物書きの立場から見てとても感心した。とりわけ「第4章 現代集合論」の出来栄えはすばらしく、構成的集合の解説、到達不能数や決定の公理の解説など、ブルーバックスに収めるのはもったいなく、もう少しこういう調子で丁寧な解説をしてほしかったと思う。所々ここだけでは解説が不足していて理解不能の箇所があるからである。とくに最後の方の「トポと集合論」などはないほうが良かっただろう。
最後の「第5章
公理の体系をきちんと述べ、集合論を展開するだけなら、(他書を写せばよいのだから)だれにでも可能だが、記号使用を最少に止め、自然な言葉によって雰囲気をわからせるというのは一流の学者であり、独特の個性を持つ竹内さんだからこそ可能だったと思われる。こうした一般書を書く際には、同業者の目を意識しないでは書けないものだが、本書の場合はそうした配慮は一切なく、自分が思ったように書かれている。そういう意味でも貴重な本である。
実に巧みに、竹内節を交えながら、集合論の(1960年代までの)全貌が書かれていて、同じ物書きの立場から見てとても感心した。とりわけ「第4章 現代集合論」の出来栄えはすばらしく、構成的集合の解説、到達不能数や決定の公理の解説など、ブルーバックスに収めるのはもったいなく、もう少しこういう調子で丁寧な解説をしてほしかったと思う。所々ここだけでは解説が不足していて理解不能の箇所があるからである。とくに最後の方の「トポと集合論」などはないほうが良かっただろう。
最後の「第5章