メトロポリス の感想

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参照データ

タイトルメトロポリス
発売日2014-04-25
製作者手塚治虫
販売元手塚プロダクション
JANコード登録されていません
カテゴリ »  » ジャンル別 » コミック・ラノベ・BL

メトロポリス とは

 『メトロポリス』は、1949年に手塚治虫が発表した作品で、『ロスト・ワールド』(1948)、『来るべき世界』(1951)とあわせてSF3部作といわれる。本書には、この『メトロポリス』と少年が幽霊となって世界を旅する「不思議旅行記」の2作品が収録されている。

   太陽の大黒点が発する放射線によって、研究途中の「人造蛋白質」から人造人間を製造することが可能になり、天使のように美しく、兵器として悪魔のような力を持った人造人間「ミッチィ」が誕生する。

   同じ手塚作品の『鉄腕アトム』を思い起こすが、アトムにはロボットとしての自覚があるのに対し、ミッチィは自分が人造人間であることを知らされぬまま、人間として暮らしている。そして自分が人間ではなく、人間に利用されていることを知ったミッチィは激しく怒り、ロボットたちを伴って、反乱を起こすのだ。

   ミッチィは、機械の体を持ったいわゆる「ロボット」ではない。有機物として非常に「生々しい」存在であり、人間にもロボットにもなれない「悲哀」がある。その姿は我々に、人間が人間を「作る」ということへの倫理を問いかけている。科学の発展によって何かを失うことへの警告を一貫して発し続けた著者の思いがストレートに反映された作品だ。

   単行本版のみの特典として手塚治虫の手書き「構想ノート」を収録。下書き原稿はもちろん、著者が自ら2作品を講評する「自評」もついており、ファンならずとも楽しめる。(門倉紫麻)

購入者の感想

若き手塚治虫が名を上げた初期SF三部作の一つ。
前作のロストワールドが従来の漫画の流れをくんだ冒険物の色が濃かったのに対し、本作は比較的純粋な近未来SFとなっている。
本作の魅力は何と言っても主要キャラのミッチィに尽きるだろう。後の鉄腕アトムにも通ずる十万馬力を持ち空を飛ぶこともできる人造人間。アトムと決定的に違うのは、ミッチィは自分が人造人間であることを知らされておらず、ロボット法のような人間に服従する縛りもないことである。そこで本来は親友であったケンイチとの決定的な亀裂が生じてしまう。
この辺りの流れは、とても子供向け漫画とは思えないほどの切ない余韻を残している。

昭和20年代という時代にここまでの濃密なストーリー漫画が存在していたことには驚きを禁じ得ない。こういった初期の手塚作品に衝撃を受けていた宮崎駿が、後の手塚アニメに対して「ヒューマニズムだけで商売していた」と批判していたのも本作を読めばその理由が何となく理解できる。初期の手塚治虫は安易なヒューマニズムに流れることなく、まるで大人を相手にしているかのようなシリアスなストーリーを展開していたのである。
手塚治虫という漫画家を理解するためには必読の書だと言えるだろう。

なお、講談社の漫画全集版は後年に絵を描き直したものであり、角川書店版はオリジナルの絵を使用している。(描き直しとは言ってもジャングル大帝や新宝島などのように内容まで変わっているわけではなく、オリジナルにおおよそ忠実なトレスといって良い。が、ケンイチやミッチィの顔などはけっこう違う)
昔の漫画に慣れていない人が読みやすいのは漫画全集版だろうが、オリジナルを重視する場合には角川版がお勧めである。ただし、角川版は絵はオリジナルであるがセリフは漫画全集版と同じである。セリフも含めて完全なオリジナル版を読みたいのであれば、小学館クリエイティブから出ている「SF三部作完全復刻版と創作ノート」などの復刻版を入手するしかないだろう。

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