人形の家 (岩波文庫) の感想

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参照データ

タイトル人形の家 (岩波文庫)
発売日販売日未定
製作者イプセン
販売元岩波書店
JANコード9784003275016
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ

購入者の感想

夫婦間の問題だけではなく、親子関係、兄弟・姉妹の関係などにも当てはまることが問われていると思います。
要するに「権威主義」とよばれる性格類型を告発する内容だと思っています。
これは、人間と人間との実存的な交わりとしての関係ではなく、サド・マゾ的な支配・従属の関係であり、しかも当人同士がそれを本物の愛だと錯覚しているという関係です。 愛情という名目で支配が行なわれるのです。
ノーラがトルヴァルから「歯が悪くなるからマカロンは食べちゃ駄目だ」と押し付けがましく言われ続けたように、親などから「ご飯は絶対に残さず食べろ」とか「風邪だろうと何だろうと学校の欠席は許さん」とか「夜は絶対9時前に寝なさい」とか言われて育った人は多いと思います。しかも次の台詞はこうだったはずです。「おまえのためを思っているから言っているんだぞ」。
しかし実は彼らが心配していることは、自分の支配下にある人間が自分の思いどおりの操り人形と化してくれないことを心配しているのであって、つまり自分自身の利害のことを心配しているのであって、支配される側の人間を心配しているわけではありません。
彼らは自分の人形が自我に目覚めて精神的に自立するのを必死で妨げます。自分の支配欲や虚栄心を満足させるためには彼らが自立できない人形のままでなくては困るのです。まさにトルヴァルが「おれに寄っかかっていればいいんだ、助言もしてやる、指導もしてやる、そういう女の無力さは、二倍も魅力的なんだ」と言っているとおりです。そして人形たちは自分ひとりでは何にもできないかわいいお人形さんのまま肉体だけ年をとっていくことになります。 イプセン自身が意図したわけではもちろんありませんが、現代のいわゆる「アダルトチルドレン」とも密接に通じる部分の多い内容となっています(実際ノーラは自分の父親がトルヴァルと同じであったと言っています)。

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