中原中也全詩歌集(上) (講談社文芸文庫) の感想
参照データ
タイトル | 中原中也全詩歌集(上) (講談社文芸文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中原 中也 |
販売元 | 講談社 |
JANコード | 9784061961289 |
カテゴリ | 文学・評論 » 詩歌 » 詩集 » 近代詩 |
購入者の感想
文庫版の中原中也の詩集は、複数の出版社からかなりの数が出ているが、これはその決定版といえるもの。
ただ「全詩歌集」だから、というだけではない。
他の現行版ではほとんどが新字・新仮名なのに対して、本書は旧字・旧仮名が採用されている。もちろん、初めて中也の詩集を手に取る方には前者の方が良い向きもあるが、それでもやはり旧字・旧仮名で読む中也の詩には抗し難い魅力がある。あの独得のリズムを持った平仮名のニュアンスが全く違ってくるからである。同じことが旧漢字の表象性についてもいえると思う。
また本書の『山羊の歌』『在りし日の歌』以外の未刊詩篇の排列は、従来の年代順によらず、吉田熈生氏によって詩想・詩法の面から新たに並べられたものだが、こちらも成功しているといえると思う。テーマごとに詩を整然と分類したという印象はあまりなく、あくまで詩風の微妙な違いを生かした排列で、自然と連続的に読むことのできる仕組みが出来上がっている。年代順に読む楽しみももちろんあるが、それは角川版の強力な全集に頼れば済むことだ。
講談社文芸文庫の余裕のある活字も読みやすくてよい。中也の詩を何度も手に取って読み返すことのある方にとっては、この上下二冊だけあれば足りる。というよりむしろ、他の文庫本はもう読めなくなる。
ただ「全詩歌集」だから、というだけではない。
他の現行版ではほとんどが新字・新仮名なのに対して、本書は旧字・旧仮名が採用されている。もちろん、初めて中也の詩集を手に取る方には前者の方が良い向きもあるが、それでもやはり旧字・旧仮名で読む中也の詩には抗し難い魅力がある。あの独得のリズムを持った平仮名のニュアンスが全く違ってくるからである。同じことが旧漢字の表象性についてもいえると思う。
また本書の『山羊の歌』『在りし日の歌』以外の未刊詩篇の排列は、従来の年代順によらず、吉田熈生氏によって詩想・詩法の面から新たに並べられたものだが、こちらも成功しているといえると思う。テーマごとに詩を整然と分類したという印象はあまりなく、あくまで詩風の微妙な違いを生かした排列で、自然と連続的に読むことのできる仕組みが出来上がっている。年代順に読む楽しみももちろんあるが、それは角川版の強力な全集に頼れば済むことだ。
講談社文芸文庫の余裕のある活字も読みやすくてよい。中也の詩を何度も手に取って読み返すことのある方にとっては、この上下二冊だけあれば足りる。というよりむしろ、他の文庫本はもう読めなくなる。