December の感想

このアルバムはリマスター盤が発売されていますが、中古でも古いアルバムの方が音楽的に聴いていて「December」の世界に浸れます。
リマスター盤は高音の響きと透明感に乏しく、低音を増やしたためにこのアルバムの世界観が薄くなってしまいました。
レコードが一番良いのですが、この1990年盤はお勧めです。

丁度12月になるのでぴったりのタイミングで聴きました。4シーズンの中でも自分によく合っている。ウォーキング（ウォークマンで）にもリズムがあるので合う、弾む。低音でBGMもよい。読書も進む。

Ｇｅｏｒｇｅ Ｗｉｎｓｔｏｎ Piano solos による ＤＥＣＥＭＢＥＲ の紙ジャケット盤は、
あきらかにも不思議な事にも最初期のＣＤよりも中低域の重心がどっしりとして高域の切れ込みも鋭い。

何気なくふと買ったこのＣＤは大当たりの１枚でラツキーでした。
購入の決め手は景色が全面にアップで印刷されており他の絵面と違っているからというだけの事です。
このさい別の絵づらのＣＤもう１枚ぐらいいいかという動機が結果的に２枚の購入に繋がったのです。

手作り畳大のコンデンサー型スピーカーで聴くとＷＤ-１０２５は透明の極限の響きが在ります。
ＨＤ８００でも良い音がしますがSTAX MK 1 Mk-2を16枚での音楽の拡がりのほうが圧倒的に素敵です。

２-ＶＬＴ-１５２４５はリミックスが違うのかビックリするほど魅力的な響きを聴かせてくれます。
この演奏の特徴である長っが〜ぁ〜い残響も最初期のすっきりと消えてゆくさまとは少し違います。

ＬｐのWF-1025よりWHC-28003がわずかに良質な音楽を奏でますがこの程度の違いではありません。
その次に素敵な音楽がこの紙ジャケットのＣＤですから奇跡的なブラインドデートの大当たりですね。

ここまで違うと好みの問題を超越していますから２種類持っていたほうが良いと思います。
静かに細く冷たく透明に澄み切った音楽を聴くかグラマラスで芳醇にどっぷりと聴くかの世界です。
ＤＥＣＥＭＢＥＲを２度楽しめるとは実に贅沢な至福の時間です。

バッハの平均率クラビィーア曲集第１巻の第１曲をグノー編曲したアヴェ・マリアや、
パッフェルベルのカノン等の聴きやすい名曲が演奏されており、
ジョージ・ウインストンの弾くその他のＣＤの難解さと刺激音が無いとても優れた最初で最後の１枚。
アルビノーニが作曲していないジャゾット作曲のアッダァージオが収録されてれば完璧のアルバムです。

ウィンダムヒルのアルバムを代表する奇跡のような演奏と録音です。

再生は ＳＴＵＤＥＲ Ａ７２７ と

December のオリジナル・ＬＰレコードが、最初に紹介されてから30年近くになる（２０１０年現在）。当時はジャンルが定まらず、ジャズやクラッシックの並びに置いてあったりしたが、今ではもうすっかり定着したようだ。音質ももちろんだが、当時のレコードのビニール袋もとても良質なものだった。

このアルバムには、冬の、美しく冷たいイメージ以外に、クリスマスの暖かさ、楽しさと、キリスト教の神への念いというものが込められているようだ。ピアノの好きな人はもちろん、これまであまりピアノ曲に関心がなかったような人でも、まずゆっくり時間を取って聴いていただきたい。次第に心が和んでゆくのがお分かりになると思う。ジョージ・ウィンストンは、そういう演奏家だと思う。特にこのアルバムは、お薦めです。

１９８７年に、初めて演奏会を聴きに行った。当時はインターネットはもちろん携帯電話もない時代で、ジョージ・ウィンストンがどのような容姿かなども知らぬまま、演奏会へ行った。どのような人が出てくるのかと思っていると、靴も履かず靴下だけで、ジーンズを履いた頭のはげたおじさんが急に出てきたので、ピアノかマイクの調整にスタッフが出てきたのかなと思ったら、何の前触れもなく演奏が始まった。これがジョージ・ウィンストンその人だったのだ。

あれから２０年以上経つが、いまだに彼の演奏は色褪せることがない。言い換えれば、時代を感じさせないと言うことだ。どうか一度、試してみてください。きっと何か顔や胸辺りに透き通るものを感じられると思います。0