ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌 の感想

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タイトルペテン師と天才 佐村河内事件の全貌
発売日販売日未定
製作者神山 典士
販売元文藝春秋
JANコード9784163901848
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

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佐村河内守という稀代のペテン師と、天才と賞賛されたほどの音楽的才能を持ちながら佐村河内のゴーストライターを約17年に渡って
務めてきた新垣隆。この奇妙な2人の「共犯関係」と、一連の騒動の全貌を明らかにした著作である。まず、佐村河内という男のあまりに
異様で奇怪な性格に呆然とさせられる。大法螺吹きで強烈な上昇志向の持ち主で、平気で嘘がつける男。自分を守る為なら土下座も泣き
落としも平然と行う一方、利用価値がないとみなした人間へは冷淡そのものの対応をとる。恫喝と自己演出と自己プロモートに関しては
天才的な才能があり、周囲の人々を巻き込みながら壮大な虚像を作りあげていった。一方の新垣隆は著者神山氏曰く「音楽バカ」で、
音楽さえできれば例え貧しくとも幸せだという無欲な才人。佐村河内は新垣のこうした才能と性格に目をつけて接近、ゴーストライティン
グを依頼するようになる。作品が発表できればゴーストライターでも幸せだと考えていた新垣だが、結局は佐村河内に巧妙に絡め取られ、
あやつり人形になっていく。その過程の描写はとてもスリリングだ。

佐村河内を語る上でもう一人欠かせない登場人物なのが右手が義手の少女ヴァイオリニスト”みっくん”である。佐村河内は”みっくん”の存
在に目を付け、利用できるだけ利用し、利用価値がなくなったと見るとあっさりと捨てた。だが佐村河内にとって誤算だったのは、この”みっ
くん”への傲慢な対応に対して新垣が激怒したことだったろう。「大人は嘘つきだ」という”みっくん”の悲痛な叫びに新垣は全てを告白するこ
とを決意する。「共犯者」としてのケジメをつけるために。こうして”現代のベートーヴェン”の虚像はもろくも崩壊していった。

「共犯者」という観点で言えば、新垣よりはるかに悪質なのがNHKである。第11章『疑義まみれのNHKスペシャル』(222ページ〜 )にはそ
の一部始終が詳細に記述されているが、NHKスタッフの佐村河内への無批判な迎合ぶりはあまりに情けなく、ジャーナリズムの魂を全く喪

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