澤野弘之 BEST OF VOCAL WORKS[nZk] の感想

澤野さんの楽曲、クオリティが高いと毎回、感心しています。
今回のアルバムの中では個人的にはHill Of Sorrowが良かったですね。

まず初めに、この評価はこのアルバム一枚に対して下したものです。一曲一曲はとても素晴らしく全曲に5つ星を付けたいくらいです。（それだけに余計に残念なのですが。）

澤野弘之さんの音楽を堪能したいのなら、このCDではなく、どの作品でも良いのでオリジナルサウンドトラックを一枚買った方が有意義だと思います。

1つ星の理由は収録曲の二点の偏りにあります。

まず一つ目は曲調、ジャンルの偏りです。
澤野さんの手掛けた音楽作品を2,3作以上見た方は充分知っているかと思いますが、この方はとても音楽性の幅が広い作曲家です。しかし、このアルバムはその音楽性のほんの一部ばかりで、似たような曲が多く収録されてしまっています。（特に前半部分。）おかげで統一感こそあるのですか、バラエティ的には物足りないです。

二つ目は元の作品の偏りです。
見ての通り全てがアニメ作品からの収録です。（古いアニメからの収録曲もありません、これは仕方ないですが。）またギルティクラウン、キルラキルはそれぞれ5曲も占めています。
10年余りに渡ってアニメも実写も手掛けてきた作曲家が「ベスト」と銘打つには偏りすぎだと思います。（主観ですが、初のボーカルベストと宣伝するからには代表作のAesthetic（医龍）くらいは入れるべきだろうと思いました。）

タイトルにプロジェクト名の[nZk]とは書いてあるので、厳密にはこの内容は間違っていません。しかし売り出し方や宣伝文に「澤野弘之ベスト」を思わせる部分が多いため、この内容との食い違いや分かりにくさがあります。

付属ブックレットのインタビュアーもリスアニ（アニメ雑誌）の編集長さんです。
これならば題名にはっきりアニメと書くべきではないでしょうか？
宣伝も「澤野弘之ベスト」より、「アニメ関連の[nZk]プロジェクトのベスト」ということに重点を置く方が妥当なのではないでしょうか？

もちろん曲それぞれは素晴らしいので、目当ての曲をいくつか手っ取り早く集めるには良いです。が、一つのCDとしてはイマイチかと感じます。