クローズアップ刑法総論 の感想
参照データ
タイトル | クローズアップ刑法総論 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 山口 厚 |
販売元 | 成文堂 |
JANコード | 9784792316365 |
カテゴリ | 社会・政治 » 法律 » 司法・裁判 » 刑法・訴訟法 |
購入者の感想
本書は、刑法学会をリードする山口教授とその門下生である若手助教授による刑法総論の重要問題に関する論文集である。執筆中及び執筆後にも全員で議論を重ねたとあって(その要旨も「議論のまとめ」として掲載されている)、いずれも理論の追求のみにとどまらず、当罰性などの観点から問題を検討する意欲的な論文となっている。
特に、山口説への批判に対して丁寧かつ説得的に反論がなされており、山口説が理論的に強固にサポートされている。それゆえ、本書は、既に完成度の高い山口説に残された問題点の指摘と克服という点でも優れている。しかし、同時にそれは、本書の弱点でもある。いずれの論文も、山口説を基本的に妥当とした上で議論を出発しているため、「山口学派」における内部完結の観が否めず、ダイナミックな議論が展開されていない(加えて、山口教授の別著などで既に詳細に検討されている「被害者の同意」などの重要問題が題目としては検討対象とされていない)。逆にいえば、本書は、山口教授の犯罪体系そのものの限界を浮き彫りにしたともいえる。その点で本書は、山口説の支持、不支持を問わず、刑法学に興味のある者にとっては、重要かつ興味深く読み終えることのできる一冊であろう。
特に、山口説への批判に対して丁寧かつ説得的に反論がなされており、山口説が理論的に強固にサポートされている。それゆえ、本書は、既に完成度の高い山口説に残された問題点の指摘と克服という点でも優れている。しかし、同時にそれは、本書の弱点でもある。いずれの論文も、山口説を基本的に妥当とした上で議論を出発しているため、「山口学派」における内部完結の観が否めず、ダイナミックな議論が展開されていない(加えて、山口教授の別著などで既に詳細に検討されている「被害者の同意」などの重要問題が題目としては検討対象とされていない)。逆にいえば、本書は、山口教授の犯罪体系そのものの限界を浮き彫りにしたともいえる。その点で本書は、山口説の支持、不支持を問わず、刑法学に興味のある者にとっては、重要かつ興味深く読み終えることのできる一冊であろう。