せいめいのはなし (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | せいめいのはなし (新潮文庫) |
発売日 | 2014-10-28 |
製作者 | 福岡 伸一 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101262314 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物 |
購入者の感想
本書には既に多くの評価があるが、恐らくは先行の単行本のものと推察する。私は文庫本(2014/10/28発売)であるが、「文庫化によせて」を読む限り増補や改訂はなく(第5章相当部分は福岡氏単独の総論)、内容はほぼ同じであろう。先行の多くの評価があるので、本書の趣旨については多言を要しないと思うが、このページの上の「商品の説明」に依ると、「生物が生きている限り、半年も経てば体を構成している原子はすっかり食べたものと……入れ替わりながら、常にバランスがとれているという生物の『動的平衡』のダイナミズム」とあって、著者の有名な既刊書籍におけるコンセプトを前提ないし基本的認識とした「内田樹、川上弘美、朝吹真理子、養老孟司、好奇心溢れる4名との縦横無尽な会話」の記録である。但し当該対談の中で「動的平衡」自体の概説があるので、右前著を読んでいなくても特段の支障はないだろう。趣旨は右4人との個別個性に従った様々な切り口から、「生命の不思議の、豊かな深部」を探るものと言えるが(私自身は養老氏以外殆ど知らないが)、分野・個性の相違の故か、論旨が散漫になったような印象も否めない。著者は上手くかかる4人とのコンセプト(内容的統一性)を纏めようとしているが、同じようなトピックが重複するところも散見される(例:1章での「細胞の自分探し」と2章での「ガン細胞の永遠の孤独」などにおけるES細胞、癌細胞の関連性ほか)。本書の構成・内容は、同前「商品の説明」及び「目次を見る」に譲り、以下では個人的に興味を惹いたトピックを幾つか紹介したい。