「立入禁止」をゆく -都市の足下・頭上に広がる未開地- の感想
参照データ
タイトル | 「立入禁止」をゆく -都市の足下・頭上に広がる未開地- |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | ブラッドリー・L・ギャレット |
販売元 | 青土社 |
JANコード | 9784791768264 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
ロンドンに拠点をおく「都市探索」チームに所属していた民族誌家、地理学者のエスノグラフィー
地下鉄から廃墟、高層ビルに至るまで、一般に立ち入りを禁止された文字通り街区の「裏側」を探索し(もちろん不法行為だが、それがなんだというのか)、消費のための街区、安全な街区のイメージを解体していく、都市探索による行動的ダダイズムの書。
こうしたベンヤミンや、あるいはドゥボールなどシュルレアリストの系譜に連なる書が邦訳されたのは久しぶりである。
そしてドゥボールがやや理論的すぎて、ベンヤミンは少し文学的すぎるという私を含めた読者には、本書の民族誌的記述は、時代的同一性も相まって直接面白さが伝わってくる。
筆者は実際都市探索チームに所属し、その始動から解体までを見つめてきた人間であるから、非合法のアクティビストであると同時に、都市地理学者でもあり、民族誌家でもある。そしてこの書は、彼の私小説としても読め、エスノグラフィーとしても読め、あるいは都市社会学の書としても読める。
消費のための管理された格子状の都市平面を脱出し、都市が垂直であり不平等であり、そして権力そのものであり、しかし単に遊びの空間であることを、ベンヤミンやルフェーヴル、ドゥボールの影響を明らかに受けているであろう現代作家が行動して語る。これだけでも本書は一読の価値があった。
地下鉄から廃墟、高層ビルに至るまで、一般に立ち入りを禁止された文字通り街区の「裏側」を探索し(もちろん不法行為だが、それがなんだというのか)、消費のための街区、安全な街区のイメージを解体していく、都市探索による行動的ダダイズムの書。
こうしたベンヤミンや、あるいはドゥボールなどシュルレアリストの系譜に連なる書が邦訳されたのは久しぶりである。
そしてドゥボールがやや理論的すぎて、ベンヤミンは少し文学的すぎるという私を含めた読者には、本書の民族誌的記述は、時代的同一性も相まって直接面白さが伝わってくる。
筆者は実際都市探索チームに所属し、その始動から解体までを見つめてきた人間であるから、非合法のアクティビストであると同時に、都市地理学者でもあり、民族誌家でもある。そしてこの書は、彼の私小説としても読め、エスノグラフィーとしても読め、あるいは都市社会学の書としても読める。
消費のための管理された格子状の都市平面を脱出し、都市が垂直であり不平等であり、そして権力そのものであり、しかし単に遊びの空間であることを、ベンヤミンやルフェーヴル、ドゥボールの影響を明らかに受けているであろう現代作家が行動して語る。これだけでも本書は一読の価値があった。