天下統一 - 信長と秀吉が成し遂げた「革命」 (中公新書) の感想

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参照データ

タイトル天下統一 - 信長と秀吉が成し遂げた「革命」 (中公新書)
発売日販売日未定
製作者藤田 達生
販売元中央公論新社
JANコード9784121022653
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

天下統一と言えば、誰もが思い浮かべるのは、織田信長が礎を築き、豊臣秀吉が完成した、所謂「織豊政権」時代であろう。
だが、この天下統一に至るまでの道程は、期間こそは短かったかもしれないが、決して一気に到達した訳でもなく、はたまた順風満帆に事が運んだ訳でもない。
対抗勢力が凌ぎを削る戦国時代、一体彼等は如何にしてこの偉業を成し遂げたのかーそれを解き明かすのが本書である。

本書の触れ込みは「旧来のイメージを大胆に覆す」とあり、実際に、著者自身も序章にて、過去の歴史学を「賞味期限を過ぎている」と切り捨てている。
こうした事から、最初に本書を手にした時は、驚愕の新説、或いは斬新な視点に依る問題提議等を想像したのだが、意外にも内容は堅実で、しっかりした骨組みの上に成り立った解説書という印象であった。
信長から秀吉へ…と言う流れの中で、彼等の実績や様々に展開した政治的側面、そして合戦の詳細等を先行研究を踏まえながら懇切丁寧に説明し、とかく「イメージ」だけで語られがちな部分の誤解を解き解しながら論述を進めて行くのだ。
そして、信長の改革や秀吉の行動力を評価しながら、天下統一が成功した背景を探っていくので、終始一貫して非常に解り易かった。

因みに、一番興味深く感じたのは「二重政権」の存在である。
信長が権力を握る際の転換期には「鞆幕府」(即ち、義昭の亡命幕府)と「安土幕府」が並列していたという事実、そして、秀吉が天下を統一するまでの過渡期には織田信雄に依る織田政権も未だ生きていた事等を指摘し、彼等がいきなり権力を奪取した訳ではなく、そこには緩やかな変遷期があった事を説いているのだ。
今更ではあるが、妙に納得させられる部分があり、また、こうした移行期に着目する事に依って、改めて信長や秀吉の手腕を浮き彫りにする事が出来るように感じた。
このように本書は、何事も一気呵成に論じるのではなく、見落としがちな点にまで目が行き届いており、誠実な研究成果が現れている点が高く評価出来るように思う。
因みに、本書には当時の戦や人物関係を図表や系図で説明する等の工夫もあり、全てが極めて明確に整理されている。

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