捨ててこそ 空也 の感想

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参照データ

タイトル捨ててこそ 空也
発売日販売日未定
製作者梓澤 要
販売元新潮社
JANコード9784103345312
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

本書は、空也上人をモデルとした、壮大なる歴史小説です。あくまでも「小説」ですから、史実とは異なった、著者独自の時代背景の設定や人物の設定も多く見られます。しかし非常に読みやすく、感動的で、面白い内容であることは間違いありません。空也上人の人間性が、見事に描き出されています。空也上人をモデルとした「小説」で、これほど優れたものは他にないと思います。

さて、史実は、平安京は、著者が表現しているほど凄惨なものではなかったし、地震の頻発もありませんでした。また、阿固や頑魯、喜界坊や猪熊などの登場人物も、全て著者の想像上の人物です。

しかし、空也上人自身の動向については、本書は、ほぼ歴史的事実に基づいて書かれています。それは巻末に参考文献として、空也上人に関する研究書を掲げていることからも分かります。空也上人の最期の姿(入滅の様子)の描写も、歴史的資料に記されている通りの描写です。

空也上人が、平安京の東市の門前に建立した石塔と、そこに彫られていた空也上人の歌「ひとたびも 南無阿弥陀仏と言う人の 蓮の上にのぼらぬはなし」は、空也上人没後、300年近く経った鎌倉時代初期まで残っていたという記録があります。

空也上人についての学術研究書で、最も読みやすいものは、石井義長 著『阿弥陀聖 空也 念仏を始めた平安僧』(講談社選書メチエ)があります。これも合わせて読まれると、いっそう空也上人像が、ハッキリと身近に感じることが出来るでしょう。

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