民芸とは何か の感想

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タイトル民芸とは何か
発売日2012-10-07
製作者柳 宗悦
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カテゴリジャンル別 » アート・建築・デザイン » 芸術一般 » 芸術理論・美学

購入者の感想

民芸に美を見出した柳宗悦の思想の根底にあるものが書かれている。
底本は講談社学術文庫「民藝とは何か」(講談社)

民家で日常的に使われているような雑器にこそ美を見出すことができる。
雑器は同じ形、模様、色を繰り返されて作られたものであり
物によっては一日に数百もの数を作る無名の品である。
数百ものをためらいなく作るのでそこには一切の意識の介入がない。
ここで初めて自然の美なるものが生ずる、それは意識や自我が超越し弊害となってしまった
初代を除く茶器一般には見られなかった傾向であったと論じている。
そういった自然の美が過小に評価されている時代に民芸運動を起こした柳宗悦であるが
その深い視点は現代の機械的生産に対する危機をも警告している。
時代は現代となって利の追及を第一とした機械的生産の時代になってしまった。
機械的生産は確かに大量で廉価だけれどもそこに美は宿ることはない。
 「今のは多産というよりも濫造であり、廉価というよりも粗悪とこそ呼ばねばなりません。
  今日の多と廉とは利を得んとする競争より生じたので、安く売るためではないのです。
  競争なくば必ず同じものを高く売るでしょう。言い換えれば今日の安ものは常に最高の価なのです。」
利を追及する資本経済から逃れることはできないけれども自然の美なるものを考え感じようとする試みは
より豊かな暮らしを実現するに不可欠な行動であるだろう。
 

民芸運動というのは聞いていて、じつは何だかわからなかったのだが、これを読んで納得。
つまり、職人の手仕事で大量生産された品、民衆の生活の用に作られたこれらの品は、
大量生産ゆえ技が徹底的に熟練され、かつそれを作る心境に一切の余計な功名心のような作為なく
作られ、つまりそこに無心で自然なものが出てくる。その徹底した熟練の中の無心の技が極限の美を生む。
他方、有名な作家が功名心であっと言わせてやろうと作為して作ったものは、それらに及ばない。
全くその通りと思った。0

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