白球アフロ の感想

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参照データ

タイトル白球アフロ
発売日販売日未定
製作者朝倉 宏景
販売元講談社
JANコード9784062182522
カテゴリ文学・評論 » 文芸作品 » 日本文学 » あ行の著者

購入者の感想

タイトル的に、もっとふざけた内容なのかと思ったら、
しごくまっとうな青春野球小説だった。
もちろん、笑えるところもあって、それ以上に主人公たちの真剣な悩みが
よく伝わってきて、一気に読めた。アメリカから黒人が都立高校野球チームにやってくるという、ともすれば出オチになりかねない設定だけど、
それぞれのバックグラウンドがしっかり丁寧に設定されているから感情移入できる。

とくに、後半の試合の描写はリアルで、引きこまれた。
野球だけじゃなく、世界の戦争の問題とか、もっと身近な高校生の悩みが、
いっしょくたになっているあたりがとても切実だった。
ラストはこれでいいんだと思うし、好感がもてた。

高校生の野球部に来た黒人学生。

この設定を思いつくセンスの良さや、いったいこれから何が始まるんです?という期待感の持たせ方はピカイチで、
冒頭からもの凄く期待してしまった。
それがよくなかったのかもしれない。

こちらとしては、黒人の考え方や文化や習慣と日本人のそれとの対立や同意についての物語が展開されるんじゃないか? という期待が強く、
だからこそ黒人高校生という設定が生きてくるはずだと思っていた。

ところがふたを開けたら、どうにもこの黒人高校生が実在する人物にはとても思えず、
あくまでも作者が頭の中で都合よくこしらえた人形にしか思えなかった。

御涙頂戴とも言える黒人高校生の悩みもそうだが、ほんとにそんなことで悩んでたの?と思うくらい拍子抜けしたし、
それを主人公がいちいち全部理解して、解説する図式もハッキリ言ってよくない。
それなら黒人との会話などで表現した方がよかったのでは?
さらに、いちいち黒人の論理的な意見に納得せず、「これは日本人の精神性として頑として譲れない!」というような対立がもっとあってもよかったと思う。

また、都合のいい展開が多いのと、全て主人公が言葉でもって説明してしまうのも、いまどきの小説らしいなと思った。
冒頭におかれた『バントについての否定』も、黒人学生の悩みを引き立たせるための道具にしたのだろうけど、なんか無理矢理感が強くて納得しづらい。

どこか浅いまま終わってしまうのが残念で、せっかくの設定がもったいないと思った。

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