心のポケットに入れておきたい名言手帳 の感想
参照データ
タイトル | 心のポケットに入れておきたい名言手帳 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 竹内 政明 |
販売元 | 大和書房 |
JANコード | 9784479392200 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 倫理学・道徳 » 倫理学入門 |
購入者の感想
評者が気に入ったのは以下の4件の文章。
「負の十を負の十とかけるとプラス百になります。その百と、正の十を十倍した百は、同じ百でも意味が全く違う。それがわからなかったら詩歌はわからないでしょう。プラス×プラスには、何の陰翳もない。」塚本邦雄
『ある問題に対して「ドーデモイイ」という解決法のある事に気の付かぬ人がいる。何事でもただ一つしか正しい道がないと思っているからである。』寺田寅彦
「稽古のあいだは大根役者と思え。舞台にあがったら千両役者と思え。」舞台人の口伝
『アレキサンダー大王から「何でも望みを叶えてつかわそう」といわれ、日なたぼっこをしていたディオゲネスが「そこをどいてくださらんか。日陰になる」と答えた。』
他、新藤兼人監督の「裸の島」1960年、を観たくなった。元の名言はともかく、ただ、この本の著者がそれほどの名文家とは思えなかった。サラリーマンの悲哀、のような文調で、読売の社風には合うのかもしれないが、名言の左頁の著者の文章は、夜の寂しい酒屋での嘆き節のような文章である。
寺田寅彦は随筆集をいくつも読んでいて、かすかに覚えていたが、ディオゲネスの話は知らなかった。ディオゲネスについて教えてくれた本、と言いたい。
「負の十を負の十とかけるとプラス百になります。その百と、正の十を十倍した百は、同じ百でも意味が全く違う。それがわからなかったら詩歌はわからないでしょう。プラス×プラスには、何の陰翳もない。」塚本邦雄
『ある問題に対して「ドーデモイイ」という解決法のある事に気の付かぬ人がいる。何事でもただ一つしか正しい道がないと思っているからである。』寺田寅彦
「稽古のあいだは大根役者と思え。舞台にあがったら千両役者と思え。」舞台人の口伝
『アレキサンダー大王から「何でも望みを叶えてつかわそう」といわれ、日なたぼっこをしていたディオゲネスが「そこをどいてくださらんか。日陰になる」と答えた。』
他、新藤兼人監督の「裸の島」1960年、を観たくなった。元の名言はともかく、ただ、この本の著者がそれほどの名文家とは思えなかった。サラリーマンの悲哀、のような文調で、読売の社風には合うのかもしれないが、名言の左頁の著者の文章は、夜の寂しい酒屋での嘆き節のような文章である。
寺田寅彦は随筆集をいくつも読んでいて、かすかに覚えていたが、ディオゲネスの話は知らなかった。ディオゲネスについて教えてくれた本、と言いたい。
たぶん、筆者は当代随一の朝刊コラムニストであろう。個人的に、毎朝、読売新聞の『編集手帳』を読んでいる。コラムで読みとれる、その「深さ」と共感を広げるその筆致に接する事ができることを日々楽しみにしている。
本書は名文家竹内氏が魅了された珠玉の108個の言葉が紹介されている。ただ、読書量が豊かなだけでなく、日々の生活の中で、絶えず聞き耳をたて、メモを取っている様子がのぞけるところも竹内ファンには興味深いのでは。
見開き2ページで1つの言葉を紹介している。右ページに生きる道標(みちしるべ)となる言葉、左ページに著者の解説・感想が述べられている。ただ、読んで感心するだけでなく、誰かに思わず紹介したくなる内容である。
1章「いつもそばに人生の名言を」から10章「自分が自分であるために」のトピック別の構成で、各章10〜11の珠玉の名言をおさめている。
4章「愛に生きられる喜びを」の中の「愛は最高と最悪の往復」という表題のついたパトリシア・コーンウェルの言葉とその後の解説を例として以下に引用する。
恋は自分の中の最高のものと、
最悪のものを両方引き出す…
やたら寛大になったり
感じやすくなったりするかと思うと、
まるで鈍感になったりする。
やることが極端になるのね。 相原真理子訳『真犯人』
著者の解説の一部
物心すべてを相手に捧げて、悔いることのない「無私」の女性がいる。相手を丸ごと独占したい、いわば「全私」の女性がいる。両者はしばしば同一人物であり、当代“ミステリーの女王”パトリシア・コーンウェル氏(1956〜)の考察にはうなずくところが多い。
自分の中から引き出される「最高のもの」と「最悪のもの」、二つのあいだを恋する人はジェットコースターのように登っては下り、下っては登る。ときに陽気に、ときに陰鬱に。
長くもない人生、冒険はそうたくさんはない。ジェットコースターに乗る阿呆と、地上からハラハラ見守る阿呆、同じ阿呆なら乗らねば損々と、結論はそういうことになる。
筆者のなんと懐の深さよ!
本書は名文家竹内氏が魅了された珠玉の108個の言葉が紹介されている。ただ、読書量が豊かなだけでなく、日々の生活の中で、絶えず聞き耳をたて、メモを取っている様子がのぞけるところも竹内ファンには興味深いのでは。
見開き2ページで1つの言葉を紹介している。右ページに生きる道標(みちしるべ)となる言葉、左ページに著者の解説・感想が述べられている。ただ、読んで感心するだけでなく、誰かに思わず紹介したくなる内容である。
1章「いつもそばに人生の名言を」から10章「自分が自分であるために」のトピック別の構成で、各章10〜11の珠玉の名言をおさめている。
4章「愛に生きられる喜びを」の中の「愛は最高と最悪の往復」という表題のついたパトリシア・コーンウェルの言葉とその後の解説を例として以下に引用する。
恋は自分の中の最高のものと、
最悪のものを両方引き出す…
やたら寛大になったり
感じやすくなったりするかと思うと、
まるで鈍感になったりする。
やることが極端になるのね。 相原真理子訳『真犯人』
著者の解説の一部
物心すべてを相手に捧げて、悔いることのない「無私」の女性がいる。相手を丸ごと独占したい、いわば「全私」の女性がいる。両者はしばしば同一人物であり、当代“ミステリーの女王”パトリシア・コーンウェル氏(1956〜)の考察にはうなずくところが多い。
自分の中から引き出される「最高のもの」と「最悪のもの」、二つのあいだを恋する人はジェットコースターのように登っては下り、下っては登る。ときに陽気に、ときに陰鬱に。
長くもない人生、冒険はそうたくさんはない。ジェットコースターに乗る阿呆と、地上からハラハラ見守る阿呆、同じ阿呆なら乗らねば損々と、結論はそういうことになる。
筆者のなんと懐の深さよ!