Omnivore's Dilemma: The Search for a Perfect Meal in a Fast-Food World の感想
参照データ
タイトル | Omnivore's Dilemma: The Search for a Perfect Meal in a Fast-Food World |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | Michael Pollan |
販売元 | Bloomsbury UK |
JANコード | 9781408812181 |
カテゴリ | » 洋書 » Special Features » all foreign books |
購入者の感想
夕食は何がいいかな?という単純な問いがこの比較的大著を産みます。私たちの祖先は雑食動物として何を食べるべきか試行錯誤してきた、今私たちはスーパーマーケットにあふれる商品を目にして何を食べるべきか再び迷う…著者はアイオワの大規模集約的トウモロコシ農場、ジョエル サラティンが経営する自然な生態系を模した多面的農場などの手伝いをしたり、密飼いされる牛を取材するために534と名づけられた牛を飼ってみたり、猟銃免許をとって狩猟採集を試み、それぞれで得た野菜や肉で料理して食べます。今や一大市場となったスーパーマーケットのオーガニック商品が抱える矛盾についても考察されています。環境と食、農業についての問題をルポした名著としては日本でも古くは有吉佐和子の『複合汚染』などがありますが、この本の現代性はたとえば「動物を殺すこと」についての倫理的かつ哲学的な考察があることです。動物を痛みを感じない機械とみなす考えの現れである534(その描写は淡々としているけど痛切)と、動物を殺したくないための菜食主義、のどちらにも反駁しながら、進化論の発見のもとになった人為的淘汰にも触れながら、中道をもとめる考察はとても興味深いです。たとえば、サラティンの農場で著者は初めて鶏を絞めることを体験して動揺しますが、サラティンは、動揺していい、屠殺は毎日やる仕事ではない、とまで言います。人間は生態系、食物連鎖の一部であって、それを忘れてはいけない、というのがこの本のメッセージなのでしょう。大変な名著だと思います。