むちゃもん 山口組・田岡一雄三代目に盃を返した元直参組長の回想録 の感想

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タイトルむちゃもん 山口組・田岡一雄三代目に盃を返した元直参組長の回想録
発売日販売日未定
製作者山本 次郎
販売元宝島社
JANコード9784800227423
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

喧嘩は滅法強く、任侠心にあふれ、正義感があり、誰からも恐れられ、また慕われていた。山口組四代目の竹中正久を豚呼ばわりして喧嘩を売ったり、ヤマケンから金を取り立てたり、田岡一雄からも一目置かれていたり、あちこちの親分衆から「是非、うちの若衆に」と誘われたり、元総理大臣にも一目置かれ、頼りにされて…と、とにかく「これでもか!」というくらいに自己賛美を書き綴っている。名前の出てきた人々のほとんどが既に鬼籍に入っているため、真実を確認することは出来ないが、はっきり言って話半分でも凄い!と、思わせる内容ではある。しかし…

喧嘩の際には必ずといっていい程、刃物を使用する。それも「ごめんなさい」と、謝って相手を油断させてから、ブスッと刺すのだそうだ。スポーツや格闘技などと違い、確かに喧嘩にはルールがない。相手をぶちのめせば勝ちである。だが、そんな薄汚い喧嘩ばかりしていて、本当に「喧嘩が滅法強い」などと、いえるだろうか?安藤組の花形敬のように、喧嘩の際にいっさい武器を用いない、という美学を貫いたヤクザもいるのだ。それと比べて、この著者はどうだろうか?

極めつけは、求婚を拒んだ元恋人の顔面に、あろうことか硫酸を浴びせて化け物のようにしてしまったという鬼畜の所業だ。そんなことをしでしかした後に、さらにもう一度求婚したのは「顔が焼けても気持ちが変わっていないことを伝えたかった」からだとという、。まさに自分勝手の極みのような人である。こんな人には、なんのシンパシーも感じない。女の顔を焼くなど、ある意味、殺人よりも酷い愚行である。ケロイドで覆われた顔で、女性は後の人生をどのように送ったのだろうか。

現在は、カネ貸し業で儲けた財産を使って設立した施設で「日本人の心のあり方を説いている」というが、こんな「むちゃもん」が、他人様に何を説くというのだろう。巻末では、金権体質に陥っているという現在の山口組に解散を迫っているが、山口組にしたって「あんたには言われたくない」というのが本音ではないか?

いまの山口組は「カネ(上納金)集めだけが目的の犯罪者集団」だと著者は断じる。放っておけば悪質な犯罪が増えるばかりだから、組を解散して子分をカタギに戻すことが親分の責任だという。「解説」の溝口敦が指摘する通り、こんな「解散建白書」を公言できるのは著者ぐらいだろう。
一見暴論だが、発展的解散論の主旨は本質的に正しいものと思える。慢性的な不況と暴対法、暴排条例でヤクザの経済活動(シノギ)はだれの目にも行きづまっている。独占安定的なシノギは、ご法度のシャブ売買くらいしか残されていないといった現状がある。さらに業界の高齢化により、ヤクザの上納金制度は国の年金制度よりも先に破たんする宿命にある。
司忍組長をはじめ執行部は、構造改革を論じた大物OBの問いかけにどう答えるのか。
解散論の前提には、著者が有言実行で自分の組を解散しカタギに復帰した実績がある。その道のりはたしかに険しいものだが、ヤクザでさえド肝を抜かれるような発想と行動は痛快でどこかユーモラスにも映る。定例会で竹中正久に喧嘩を売ったり、宅見勝を「飛田のバイオリン弾き」とけなしたり、福田赳夫(首相)をタヌキ呼ばわりしてからかったり、文中のエピソードは「人斬り次郎」の面目躍如たるものがある。
また、菅谷政雄の絶縁について田岡一雄が明かした心情、山本健一の四代目就任が遅れた理由など、山口組史のあらたな見方も提示されていて興味深い。
巻末の「宝塚地蔵園・活用案募集」に名案が寄せられ、著者の念願が成就することを切に願う。

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