アントニーとクレオパトラ (新潮文庫) の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトルアントニーとクレオパトラ (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ウィリアム シェイクスピア
販売元新潮社
JANコード9784102020104
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » イギリス・アメリカ

購入者の感想

あまりにも有名なプトレマイオス朝最後の女王を題材にした史劇です。
オクタヴィアヌスとの確執を徐々に深めていき、最後に戦いとなって敗北するアントニーは死を選ぶ。
そしてローマに虜囚となる運命だったクレオパトラもまたアントニーの後を追うかのように自殺した。
しかし生きている間のこの恋人たちは、時に罵りあいながらも恋や愛を大げさに言葉にすることで遊んでいるかのような雰囲気がある。
いろんな手で相手の気を惹こうとするクレオパトラと、それに答えるアントニーも政治的な立場を天秤にかけながらのやりとりが続いている。
すでに相手を手に入れているという確信から来る余裕なのだろうか。
純粋な愛だけじゃなく、打算や権力をちらつかせながらという現実的な関係です。
それでも最後には軍人として、そして女王としての誇りが死を彩り2人を結びつけていた。
男女の複雑な関わりを描き出している作品だった

『ジュリアス・シーザー』でマーク・アントニーは見事にシーザーの汚名を晴らし、暗殺者ブルータス一味を破滅させました。本書はその後の彼を描いています。地中海を中心とするポスト・シーザーの世界は、後に元老院からアウグストゥスの尊号を贈られるオクタヴィアヌス(彼もシーザーです)、レピダス、アントニーとによって第二回三頭政治が樹立されますが、やがてオクタヴィアヌスとアントニーとの力の均衡は崩れ、二人は闘うほかない状況へと入っていきます。

シェイクスピアの古典劇というよりは、ローマ時代から演じられた西洋歌舞伎といった印象をうけるほどに、馴染み深くて演じ甲斐のある作品ではないでしょうか。

脇役が充実しているうえ、主要人物の個性もよく描出されています。とくにトリマキ達の皮肉やお世辞や愚痴が、人間っぽさを上手く表していて、シェイクスピアはこういう部分を書いていて面白かったのではないかと想像してしまいます。

クレオパトラのお姫様ぶりは幼稚性と残虐さがある一方、義理人情もあわせもっていて、さすがプトレマイオス王朝最後の王といった印象です。しかし、あまりに感情に左右されている行動ばかりのためか、尻軽女とアントニーに罵倒されるのも、うなずけます。実物はどうだったかわかりませんが。

研究書などを読んだ上で読まなくても楽しめますが、ローマの歴史を少し知っておくと読みやすいと思います。何度も読むか聞くかすると、味わい深くなるのかもしれません。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

アントニーとクレオパトラ (新潮文庫)

アマゾンで購入する
新潮社から発売されたウィリアム シェイクスピアのアントニーとクレオパトラ (新潮文庫)(JAN:9784102020104)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.