淮南子の思想 老荘的世界 (講談社学術文庫) の感想

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参照データ

タイトル淮南子の思想 老荘的世界 (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
製作者金谷 治
販売元講談社
JANコード9784061590144
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 老荘思想に関心のある人には必読書だ。
 本書によるとそもそも「老荘」というくくり方は淮南子から生まれたという。老・荘二派の出会いの場となったということか。
 淮南子は戦国時代に流通していた思想全般のほか、神話・説話、天文・地理、処世・政治等を百科全書的に集大成したもので、分類上「雑書」とされる。雑書だが老荘的統一の視座をもつ。これを編集したのが漢の武帝と同時代の親戚である淮南王劉安である。
 劉安は中国南部の半独立的王朝を立てていたが、後に謀反の嫌疑で自殺を強いられ、同地は漢に統一される。本書により淮南子は儒教国教化に抗してまとめられた、戦国の自由思想の最後の光芒の書であることを知る。
 本書前半では編者劉安について昇仙伝説にいたるまで詳細に述べられ、後半は老荘的統一をテーマにした思想編となっている。
 著者は内編を中心とする原「荘子」が淮南の地に持ち込まれ、淮南子を経て老荘的に増幅され、そのメルクマールとして淮南子が位置するとみる。
 淮南子以降、劉安の昇仙伝説に見られるように、老荘思想は神仙思想に傾斜していくように見えるが、淮南子ではまだ道家として 社会に踏みとどまっていると著者は分析する。
方士と道家の結びつきもここから始まるのだろうか。
 老荘思想は儒教に敗北したが、2000年後の今日、個人と自然を重視した老荘思想は世界的レベルで注目されている。そうした視野に立って、幅広い内容を含む老荘的集大成の書としての淮南子を見ると、当時の老荘思想の受け止め方が見えてきて興味深い。
 本書は淮南子の入門書・解説書としてはおそらく唯一の本で、内容的に充実していて、かつ刺激的で、繰り返し読むに耐える最上の書である。

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