アメリカ黒人の歴史 - 奴隷貿易からオバマ大統領まで (中公新書) の感想

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タイトルアメリカ黒人の歴史 - 奴隷貿易からオバマ大統領まで (中公新書)
発売日販売日未定
製作者上杉 忍
販売元中央公論新社
JANコード9784121022097
カテゴリジャンル別 » 歴史・地理 » 世界史 » アメリカ史

購入者の感想

苦難の歴史。それがオバマの当選とどうつながるかについて、もう少し立ち入って紹介してほしかったです。オバマはもちろん「黒人」というカテゴリーに入るのですが、南部出身(元奴隷…)ではなく親の世代でアフリカから移民したことの意味が大きいはずです。ハワイやインドネシアで少年時代を過ごしたと考えると、文化的には、アフリカ系アメリカンというよりもアジア系アメリカ人ともいえます。

この50年間に世界史認識の枠組みも手法も大きく変化した。冷戦が終わり社会主義が崩壊し“マルクス・レーニン主義”と呼ばれた「観念的」進歩史観は事実上破産した。著者は単に新しく通史をまとめたのではなく、新しい歴史認識をふまえた新しい「歴史」を読者に届けようとしている。

「1964年公民権法が成立した当時、半世紀以内に黒人が大統領に選ばれるなどと、誰が想像したか」p10、このアメリカ史の「地殻変動」に至る道がコンパクトに叙述される。著者は黒人全体がアメリカの危機を知らせる「カナリア」であると名づけ、その歴史を貫徹するキーワードとしている。

第一章では16世紀から独立戦争をふくめ19世紀半ばまでをカバーし、リンカンまで歴代の大統領の大半が奴隷主であったことに象徴される「黒人奴隷制共和国」と規定する。第二章は奴隷解放が宣言された南北戦争から大恐慌前夜まで。第三章では大恐慌から第二次大戦まで、ニューディール政策下でも差別が温存され、反ファシズム戦争と並立した矛盾。第四章は、戦後の冷戦下の公民権運動。赤狩りで黒人解放運動に打撃を与えられた一方、様々な小さな運動が積み重なり結合してついにはカリスマ指導者マーチン・ルーサー・キングの登場。

第五章から“本番”。ロス暴動で幕開けし、ベトナム反戦に踏み切ったキングの暗殺、「ブラック・パワー」も自滅、レーガンの「保守革命」が始まり新しい差別が蔓延。第六章では90年代以降から現代まで。「分極化」と「多様化」と題して、一部の黒人が中間階級に上昇した一方、都市を中心に低賃金・失業・貧困から麻薬・HIV・「産獄共同体」による犯罪者増加と放置などの目を覆いたくなるような悲惨な現状が暴かれる。

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