夢・アフォリズム・詩 (平凡社ライブラリー (149)) の感想

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参照データ

タイトル夢・アフォリズム・詩 (平凡社ライブラリー (149))
発売日販売日未定
製作者F.カフカ
販売元平凡社
JANコード9784582761498
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 外国のエッセー・随筆 » ドイツ

購入者の感想

日記、手紙、ノートなどのコンテンツから抜粋され、
夢、アフォリズム、詩などのカテゴリーに分類された文章が、かなりのボリュームで掲載されています。
カテゴライズされているといっても、コンテンツの性質上統一されたコンセプトのようなものは皆無といってよく、
短編集などに収められている種類の作品も一切期待しないほうがよいでしょう。
“怠惰は、すべての悪徳の始めであり、すべての美徳の絶頂である”
“天空は沈黙している。ただ沈黙する者に対してだけは、こだまを返す”
“お前と世界との決闘に際しては、世界に介添えせよ”
などの短いものから、『掟の門』程度の長さのものまで、文章の尺もさまざまです。
ただカフカという偉大な作家がほとんど無名であった生前、日常的にどんな文章を書きどんなことを考え日々を過ごしていたのか、その一端を垣間見ることはできます。
また『城』において、果てしなく繰り返される長い会話のやりとりなどは、おそらくごく自然に苦もなく紡ぎだされていったのであろうと、容易に想像できるようなくだりもあり、作品の源泉を感じさせる記述は多数見られるのですが、
全体としてはどうしても散漫で、資料的価値が強く、小説に溢れている魅力、とりわけあの目のくらむような不思議な現実感は乏しいといえます。
代表作といわれる作品に触れ、人間フランツ・カフカに強い興味を持たれた方にのみお勧めします。
個人的には、ストイックで誠実な観察眼が捕らえた、一見複雑に入り組んだ膨大な思考のすべてが、彼のなかでは整然と、しかし強く表出を待ち望んでいて、カフカはそれらを書き写す作業に日々追われていたように思え、少し気の毒な気持ちにもなりました。
カフカ自身は“書くことは憧れだった”と記していますが、天才とはそういうものなのでしょうか。

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