ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトルハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)
発売日2011-07-08
製作者ローワン ジェイコブセン
販売元文藝春秋
JANコード9784167651756
カテゴリ » ジャンル別 » 科学・テクノロジー » 科学読み物

購入者の感想

ミツバチが突然に姿を消し始める、という謎の現象を追跡したミステリー仕立てのノンフィクション。ミツバチの生態を解説した導入部分が長く感じますが、本題に入ってからは面白く一気に読むことができます。原因が新種のウィルスや特定の農薬ではなく、大規模化した農業、テクノロジーの“乱用”、そして効率とコストを優先した経済サイクルにあるという点で、また、それが破滅に向かう人類の将来を予感させるという点で、暗澹たる気分にさせられます。
ただし著者の執筆意図は、この問題の原因を解明して提示することよりも、ミツバチや他の花粉媒介者たちが築き上げた自然のエコシステムへの驚嘆、そしてハチたちへの深い愛情を表現することにあるようです。だからこそ不思議と、切なく甘酸っぱい読後感が残る書となっていて、それが一人一人が小さな行動を起こして行くための「共感」を生むのではないかという点に期待します。
なお、著者の主張の中で、科学的な解決策への否定的な見方はやや“書き過ぎ”であるように思いました。問題の構造を明らかにするためには科学的思考が不可欠ですし(まさに著者自身が多数の科学的文献を引用しているように)、解決策についても、ひたすら自然に帰ればよいというものではないでしょう。
ただ、それが本自体の価値を損ねるほどのものとは思いませんでした。現在の産業システムが持続性を欠いていることはまず間違いないでしょうし、また何より、著者の意図は「花粉媒介者への愛情」を人々に“媒介”し受け渡していくことでしょうから。一つの読み物としては満点です。

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