夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫) の感想

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タイトル夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者阿久 悠
販売元文藝春秋
JANコード9784167321055
カテゴリジャンル別 » エンターテイメント » 演劇・舞台 » 演劇

購入者の感想

音楽産業の歴史について調べる必要があり、手にしてみたが、
想像以上に面白かった。
私は「スター誕生!」が一世を風靡した時代に生まれていなかったので、
阿久悠の印象は「日本一の売上枚数を誇る作詞家」というぐらいの認識しかなかったが、
本書を読むと、作詞家というよりか、
めちゃくちゃ先見性のあるプロデューサーそのものである。
考えてみれば、秋本康もそうだが、
音楽コンテンツという不確実性の高いビジネスにおいて、
単に作詞をやっただけで、これだけのヒットを連発できないだろう。

特に、ピンクレディーがヒットするまでのプロセスは
読んでいて固唾をのむ。
ヒットを作るというのは、
・世間を巻き込み、自分たちが予想もできないような
アーティストのイメージを作っていくことにあり、
・世間が作ったイメージを、制作サイドでまた新たに覆していく螺旋階段のようなプロセス
ということや、
・こうしたイメージを作り、見届けていくためにも
同じアーティストに対して最低3回連続で作詞を請け負えなければ手がけない、
という仕事の仕方など、彼の仕事術は、
現在でも参考になると思う(もちろん、そのまま真似ることはできないが)。

そして、こうした阿久悠という人材は
もと広告代理店の企画マンというバックグラウンドがあった。
1960年代までの音楽業界は、専属作家制といって、
売れっ子作家をレコード会社の社員として扱っていたが、
1960年初頭からモノクロテレビ、スタ誕が生まれる直前の70年からはカラーテレビという
新たなメディアが登場することで、
阿久悠のようなフリー作家が活躍することになった。
こうした従来の仕組みと新たな仕組みが揺れ動く中で、
業界に風穴をあけるには「外からきた人間」というのも必須の条件だったのかもしれない。

このように、一仕事人としての阿久悠の仕事っぷりだけでなく、
俯瞰的な流れの中で本書を読むと、学びが多い一冊であろう。

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文藝春秋から発売された阿久 悠の夢を食った男たち―「スター誕生」と歌謡曲黄金の70年代 (文春文庫)(JAN:9784167321055)の感想と評価
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